#2 このはなしを書く理由|がん保険のトリセツ|はじめに
私は過去、2010年夏から約9年、がん患者の家族という立場を経験しました。がん患者となったのは、私の母。当時すでに保険の仕事をしていたので、がん保険に関する知識は持っていました。
目次
がん保険の知識では戦えない
日々がん保険を扱っていると、一般の方よりはがんのことを考える機会はあると思います。ところが、がん保険経由での知識では、いざという時に、ほとんど役に立たないということがわかりました。
がん保険からわかること
がん保険のパンフレットには、がんに関する基礎的な知識事項や、がんの治療に関する情報が記載されています。最近の治療のトレンドなどはここで一定の知識を得ることができます。
ただしそれらは全て、一般的な情報になります。
生きた情報は得られない
がん保険のパンフレットの情報は、保障内容に関係する情報です。がん患者となった時に、がんと向き合うための基礎となる情報ではないことを知りました。
がんの種類、進行度、治療の選択肢は、がん患者さんそれぞれ違いますから、必要な情報も違います。
不満ではないが、納得でもない
乳がんに始まり、肺、肝臓、骨などへの転移、最終的に在宅医療での緩和ケア。すべて主治医の先生の指示通りに治療を受けました。
特に先生に対して、不満といったものはありませんでした。
判断ができなかった…
がんが転移したり、使っていた薬の効果が薄くなったり、といったことで、新しい治療が行われます。その時に、先生から治療の提案を受け、必ず『どうしますか?』と、判断を求められました。
ただいつも『お願いします』というだけで、自分たちで『その治療を選ぶ』という主体的な感覚はありませんでした。
日本の医療のルール
なぜスッキリ感がなかったのか…。いろいろな治療があるのに、なぜ提案される治療はいつもひとつだけなのか。先生が一番良いと思うものを提示してくれてはいるのだろうけど…。
あとで知ることになるのですが、私たちが、日本のがん治療のルールのようなところを知らなかったからだ、と気づきました。
納得して治療を受けるために
同じ治療を受けるにしても、納得感があるかないかで、前向きさが変わってきます。そして、違う治療を受けていれば…という後悔をする可能性も低くなります。
がんを知ること
何かの判断をする場合、必ずそれに関する情報を得ようとすると思います。なぜなら判断材料が必要だからです。がんの場合であれば、がんを知る必要があります。
適切な情報の取り方
ただ、今の時代、情報があふれています。情報が多すぎて余計わけが分からなくなるという恐れもあります。ですから情報の取り方も知る必要があることを知りました。
がん保険の役割と使い方を伝えたい
がんと向き合うにあたり、がん保険が役に立つ場面は必ずあります。ただし、がん保険は万能保険ではありません。がんで困ること全てを解決してくれることはないことを知る必要があります。
がん保険でできること
がん保険は、がんの治療費に対して一定の助けになると思います。『一定の』という言い方をするのは、がんが長期の戦いとなった時、必ずしもすべての治療費に対応してくれるわけではないからです。
そのあたりの弱点も知っておく必要があります。
がん保険でできないこと
がん保険でできないことはたくさんあります。治療費以外のお金には対応できない可能性がありますし、がん保険に入っているだけでは、必要な情報は得られません。
できることできないことを知り、がん保険に対し過度な期待をしないことが大切です。
私は過去に10,000回以上の保険相談会に携わってまいりました。相談にいらっしゃる多くの方が『がんの備え=がん保険加入』と考えている印象がありました。次回は、このあたりの怖さについて触れていきたいと思います。
◇◆◇補足◇◆◇
このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。