がん保険の選び方|『がん保険の加入率』他人は関係ないけれど、参考程度に見ておこう、というはなし

がんは怖い!というイメージを持っている方は、それなりにいらっしゃると思います。それに対して、がん保険に入っておこうと思う方もそれなりにいらっしゃいます。私は、過去に10,000回以上の保険相談会に携わってきましたが、がんに備えたいという相談も多かったように思います。

『うちはがん家系だから…』『友人ががんになって、がん保険に入っていて助かった…と聞いた』といった理由で、がん保険に入りたいという相談を数多く受けてきました。がん保険には入った方がいいのか?素朴にそういった疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

そこで今回は、私たち日本に住む人の、どのくらい割合の人ががん保険に加入しているのか?そして、そこに何らかの傾向があるのか?ということについて、一緒に見ていきたいと思います。

まさに今、『がん保険に入った方がいいのかどうか?』検討しているあなたへ、お届けしたいはなしです。

がん保険加入率自体は、増加傾向

日本におけるがん保険の加入率は、以下のとおりです。

がん保険・がん特約 加入率推移

2004年2007年2010年2013年2016年2019年
全体25.3%31.2%33.1%37.3%37.8%42.6%
男性28.9%35.1%33.2%40.2&38.7%43.2%
女性22.5%27.9%33.0%35.0%37.1%42.2%
出典:公益財団法人生命保険文化センター「生活保障に関する調査」平成6年~令和元年 全生保データをもとに著者が作成

ご覧のとおり、日本に住む約4割の方が、がん保険などに加入していることがわかります。そして、20年前くらい前からその割合は、ずっと上昇傾向にあります。この約4割を多いととらえるか、少ないと感じるかは、それぞれだと思いますが、あなたの印象はいかがでしょうか。

ご自分のがんを発信する人が…

がん保険の加入率が上昇している要因は様々だと思いますが、昔と比べて、芸能人などの著名人が、ご自身のがんを公表することが多くなったことが、ひとつ影響していると、私は思っています。

近年では、ブログやSNSで闘病生活などを詳細にわたって発信されることもあり、まだがんになっていない人が、がんは怖い、がんに備えようと思うのかもしれません。

がんになっても亡くならない

また、昔はがんは不治の病と言われた時期もありましたが、現在はがん患者さんの5年後生存率は、6割を超えていますし、10年以上生きていらっしゃる方も5割を超えています。

そういったがん患者さんが、ご自身のがんやがんへの備えの大切さを訴えていらっしゃっていて、それが多くの方への意識の変化につながっている可能性があると思いますし、そういったことは大切だと、私は思います。

年代別がん保険加入率だと、40代がピーク

また、がん保険などの加入率の、性別、年代別の数値は以下のとおりです。

がん保険・がん特約 性別・年代別加入率

全体18~19歳20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 
全体42.6%6.1%25.4%46.4%50.8%44.7%40.3%
男性43.2%4.7%22.0%46.3&52.8%46.8%42.2%
女性42.2%7.7%28.9%46.5%49.2%43.1%39.0%
出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」をもとに著者が作成

ご覧のとおり、性別を問わず40歳代で加入率はピークを迎え、その後下がっていく傾向です。40歳代以下の世代では、女性の方が加入率が高くなっています。これは、婦人科系のがんの発症が、30歳代、40歳代で高いことと関係があるのかもしれません。

私も、過去に10,000回以上の保険相談会に携わってまいりましたが、比較的若い世代の女性の相談で、婦人科系の病気、特に乳がん、子宮がんに備えたいという相談を、たくさん受けた記憶があります。

男性は気になりだす頃

一方男性の場合、20歳代、30歳代だと、あまりご自身の健康に関心が高くない人が多かった印象があります。ただその男性も、40歳代になると、健康診断の結果で異常の判定が出たり、何らかの体の不調を持つ人も目立ちだしてきます。

周囲でがんになった人がいる、といったことも出始め、自分事に感じ始める年代なのかもしれません。2人に1人はがん保険などに加入している結果が出ています。

リスクの上昇とともに下降

がんになってしまうリスクは、40歳代を超えて、50歳代、60歳代、70歳代と年を重ねるほど、高くなっていきますが、がん保険の加入率自体は、40歳代をピークに、そこから下がり始めてきます。

年を重ねながら、貯蓄をしっかり作ってきて、がんの医療費に対する備えは、貯蓄でできているということであれば、合理的な判断だと思います。ただ一方で、毎月の負担(保険料と言います)がもったいないという理由で、がん保険をやめてしまったという人もおそらくいるはずです。その場合、あとで本当にがんの診断を受けてしまった時、つらい思いをするかもしれません。

ライフステージ別がん保険加入率には、ひとつの傾向が

さらに、ライフステージ別のがん保険などの加入率です。

がん保険・がん特約 ライフステージ別加入率

ライフステージ全体男性女性 
未婚28.9%29.0%28.8%
既婚・子供なし42.7%46.0%40.0%
既婚・末子未就学児49.6%50.7%48.8%
既婚・末子小学生52.0%56.8%48.4%
既婚・末子中学生・高校生50.9%53.9%48.7%
既婚・末子短大・大学・大学院生50.8%47.8%52.7%
既婚・子供すべて卒業(未婚)42.5%44.8%41.1%
既婚・子供すべて卒業(既婚)43.5%46.2%41.9%
出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」をもとに著者が作成

このデータだけで一概に言えないかもしれませんが、結婚をしているか、結婚をしていたとしたら子供がいるか、このあたりで一定の傾向が見えます。

結婚をしていて、養っていく子供もいる、そしてその子供が学校へ行っている人で加入率が約50%と、比較的高くなっています。一方、単身者は30%未満と、わりと大きな差がある印象です。

家族のために…

結婚をして、子供も誕生すると、生命保険の検討をする機会も多くなることが考えられるため、その流れでがん保険にも加入する人が多いのでしょうか。子供が大きくなるにつれ、塾や習い事など、子供への出費も増えるため、自分のがん治療で、子供のための貯蓄を取り崩さないようにという考えるのかもしれません。

子供のいない夫婦の世帯でも、40%以上の加入率はあります。こちらは、子供がいる世帯に比べ、自分たちのために使えるお金も多いので、がん保険の保険料を支払う余裕があるということでしょうか。

シングルだからこそ…

結婚をしている世帯と比べ、シングル世帯ではがん保険加入率が30%未満と、かなり低くなっています。シングル世帯の場合、結婚や子供の誕生など、生命保険を考えるきっかけとなる出来事が少ないということもあるかもしれません。また、自分一人なので、保険の必要性をあまり感じないということもあるのでしょうか。

ただ、夫婦であれば、例えば収入があった夫ががんで仕事ができなくなった時に、妻が代わりに仕事をして収入を得るようにするなど、バックアップのバリエーションが多いですが、シングルの場合全てを自分で背負わなければならないため、逆に保険の加入が合理的であるという考え方もあります。

全体の傾向を参考に、まずはがんを知ることから

どういった年代や家族構成の人でも、がん保険に加入している人としていない人がいます。比率に特徴はありますが、実際ご自身に必要かどうかは、やはりあなた自身の置かれている状況によって判断する必要があります。データも参考にしつつ、あなた自身で納得して選択することが大切だと思います。

そのために、がんになってしまった時に、どういったシナリオが考えられ、どのような経済的負担が発生するのかなど、がんを知ることが始めの一歩なのだと私は思います。もしあなたががんの診断を受けた時、人生がどのようになり得るのかというイメージがなければ、がん保険が必要かどうか判断できないのではないでしょうか。

学校でのがん教育がスタート

今日本では、がんの診断を受ける人(毎年約100万人)、がんで亡くなる人(毎年約40万人)が、増え続けています。国もそれを問題視し、ずっと前から対策を行っていますが、その傾向に歯止めはかかりません。国はその原因を、日本人ががんのことを知らないからだと考え、国民にがん教育を行う政策を始めています。

ところが、そのがん教育の対象となっているのは、中学生と高校生です。数年前から学校でのがん教育がスタートしています。もちろんまだがんになるリスクの低いうちに、必要な教育を行うことは大切だと思います。ただし、今急ぎでその教育が必要なのは、本当はすでに社会人になっている私たちなのかもしれません。

社会人は保険の相談時に

残念ながら現状、私たち社会人ががんのことを学ぶ場は、日本ではあまりないかもしれません。ですから、数少ない機会として、今回のがんに手厚い医療保険やがん保険を検討する機会を大切にしていただきたいと思います。

是非、生命(がん)保険の相談の機会に、あなたの保険の担当者から、がんに関する保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなど、実際がんになってしまった時の影像が浮かぶ情報を得ながら、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※1)(※2)。

がんと聞いて、がん保険商品の選択肢しか出せない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします(※3)。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。

(※1) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

(※2) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

(※3) 生命(がん)保険相談のセカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険選びにもセカンドオピニオン』一番大切なことは、オトクながん保険選びではない、というはなし」を、是非ご覧ください

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