#5 いい治療はお金次第?|がん保険のトリセツ|はじめに

私は過去に10,000回以上の保険相談会に携わってきました。そこでお客様とお話ししていると、がんになると一気に数百万円単位のお金が掛かるという印象をお持ちの方が、いらっしゃいました。

実はそういう金額が発生する治療も存在します。ではそういう治療を選んだ(選べる)人の方が、治る確率が高いのか?これは必ずしもそうとは言えないようです。

ふつう値段が高いと質も高い

一般的に物を買う場合、支払う金額が高い方が、質の高い物を手に入れることができると言えます。

サービスの提供を受ける場合にも同じことが言えそうです。

例えば家電品を買うと…

例えばテレビ、高額であればあるほど画面が大きかったり、画質が良かったり、音が良かったりと、品質が高くなることが、一般的です。

値段が高いテレビの方が、品質も高いと言えます。

がんでもイメージは…

がん治療においても、あなたの支払い額が、10万円で済む治療と、300万円掛かる治療があるとしたら、いかがでしょうか。

なんとなく300万円の治療の方が、より良い治療で、治る確率も高いというイメージになるかもしれません。

がん治療ではあてはまらない

テレビにおける画質などの品質、がん治療においては治る確率(治療効果)がそれにあたるのかもしれません。

ただ、がん治療の場合、金額を積めば積むほど、治る確率が高い治療を受けられるかというと、それは違うと言えるかもしれません。

国や主治医の推奨は10万円の治療

どんな治療を選ぶかは自由です。ですから、自分が金額の高い治療を受けた方が良いと思うのであれば、その選択は可能です。

ただし、国や主治医の先生は、それを勧めることは、一般的にありません。

※ちなみに10万円と言う金額は、あくまで例えです

より治療効果が高いという根拠

日本におけるがん治療の場合、過去の臨床試験などの結果から、治療効果がより高いものについて、少ない負担で受けられるという仕組みになっています。

数百万円も自分で負担しなければならない治療に関して、国の見解は、現時点では十分な治療効果が認められていない、それゆえ患者さんに推奨されるべき治療ではない、というものです。

お金があればいい…は危険

家電品であれば、自分が購入したものが失敗であったと思った時、お金があればそれを処分し、新しいものを購入することができます。故障などの時も同じです。

ですからお金を持っておくことが、そういったことへの備えになります。

がん治療はやり直せない

がんでもお金の備えは必要になります。ただし、がん治療の場合は、過去の治療をリセットすることはできません。

受けた治療に対し、不具合があったとしても、またお金出して違う治療を受ければ良い、となるかどうかはわかりません。

最初の判断が重要

ですから、がん治療は最初にどういった判断をするかが大切だとも言われます。裏を返せば、正しい判断をするための知識が必要だということです。

知識は自分で集めに行かないと得ることができません。実はがんへの備えに関しては、この点が非常に重要だと考えています。

お金とともに情報が必要

がんの備えと言えば、がん保険加入。そういったイメージが一般的にあります。ただ、お金の備えとともに、情報の備えも実は重要です。

がんは情報戦と言われることがあります。それだけ正しい情報、そして最新の情報の有無が重要であるということだと思います。

がん保険が助けてくれるのは…

がん保険に加入していると、がん治療などに関する情報が得られるか?答えはノーです。がん保険はあくまで、がん治療費、お金を助けてくれるものです。

ですからがんの備え全般ではなく、がん治療費に対する備えをしたと理解しておく必要があります。

できればがんになる前に少しずつ

実際がんになってみないと、その時のがんにふさわしい治療法などはわかりません。がんの種類や進行状況によって、治療法が変わる可能性があるからです。

ただ個別のがんのことではなく、日本の医療のルールや仕組みのようなものは、できればがん保険(お金)の備えをする時に、併せて備えておくことを私は推奨しています。

がんに関する情報を得ることは、簡単ではないかもしれません。ですから、あなたのがん保険の担当者から、お金とともに必要な情報も得ていただきたいと思います。

もしそれが難しい場合、別の担当者(セカンドオピニオン)を探すことを考えた方が良いかもしれません。それくらいがんと情報は重要だと私は考えています。

次回は『#6 がんはそんなにお金が掛かるのか?』というタイトルでお話ししたいと思います。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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