#10 データで見るがん|がん保険のトリセツ|第1章 がんを知る

がんは早期で発見すれば治る、と言われるようになっています。ですが、まだまだ『がん=死』というイメージも根強く残っているように感じます。

がんが怖い病気あることは間違いないと思います。ただし、できればがんになる前に、どう怖いのかということを知り、正しく恐れ、そして備えていただきたいと考えています。

どんながんが多いのか?

1位2位3位4位5位
大腸がん肺がん胃がん乳がん前立腺がん
出典:国立がん研究センターがん情報サービス『がん患者数の順位(2019年)』より筆者が作成

がんにもたくさんの種類があり、その特徴はそれぞれですが、ここでは比較的数の多いがんについて、触れていきたいと思います。

2019年、日本人全体で診断された数が多かったがんは、上の表のとおりです。女性特有、男性特有のがんが、4位と5位に入っているところが特徴的です。

女性に多いがん

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乳がん大腸がん肺がん胃がん子宮がん
出典:国立がん研究センターがん情報サービス『がん患者数の順位(2019年)』より筆者が作成

やはり女性においては、乳がんが一番多くなっています。がんは、年配になるほどリスクは高くなりますが、乳がんに関しては30代くらいから急激にリスクが上がります。

そして乳がんになる方が増え続けています。50年以上前には、女性で乳がんになる人は、50人に1人などと言われていましたが、10年前には14人に1人、現在は9人に1人とも言われています。

男性に多いがん

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前立腺がん大腸がん胃がん肺がん肝臓がん
出典:国立がん研究センターがん情報サービス『がん患者数の順位(2019年)』より筆者が作成

男性においても、いわゆる男性特有のがんと言われる、前立腺がんが1位になっています。ただ、前立腺がんは甲状腺がんとともに、過剰診断も多いなどという指摘もあります。

前立腺がんの患者数は多いのですが、比較的進行が遅く、がんが見つかっても悪性度が低ければ、治療は経過観察だけというケースもあります。

どんながんで亡くなるのか?

1位2位3位4位5位
肺がん大腸がん胃がんすい臓がん肝臓がん
出典:国立がん研究センターがん情報サービス『がん死亡数の順位(2020年)』より筆者が作成

1~3位までは、わりとよく耳にするがんだと思います。亡くなっている方が多いこともあり、これらの部位は35歳以上からの健康診断での定期検査を国は推奨しています。

4位のすい臓がんは、なかなか発見が難しい、5位の肝臓がんは、がんが発生してもなかなか自覚症状が現れない、などといった理由で、比較的進行した状態で見つかることが多いと言われています。

女性で多いがん

1位2位3位4位5位
大腸がん肺がんすい臓がん乳がん胃がん
出典:国立がん研究センターがん情報サービス『がん死亡数の順位(2020年)』より筆者が作成

がんになる人の数は乳がんがトップですが、死亡者数では大腸がんがトップ、乳がんは4番目です。大腸がんが1位というのは多少イメージと違うでしょうか。

過去、私のお客様にもいらっしゃったのですが、女性の方で大腸の内視鏡検査を敬遠される方もいらっしゃるという側面もあるのかもしれません。

男性で多いがん

1位2位3位4位5位
肺がん胃がん大腸臓がんすい臓がん肝臓がん
出典:国立がん研究センターがん情報サービス『がん死亡数の順位(2020年)』より筆者が作成

男性においては、診断数でトップだった前立腺がんは入っていません。やはりがんの中では、比較的、悪性度が低いことが多いのかもしれません。

国は、上位の3つに関しては、検診での早期発見を目指していますが、検診受診率はまだ40%台と、決して高くはないというのが現実です。

がん5年生存率

国立がん研究センターでは、定期的にがん5年生存率という数値を発表しています。がん全体のものと、がん部位別のもの、性別によるものなどを確認することができます。

もう20年以上前ですが、がんで亡くなった親戚がいました。見つかった時には全身に転移があり、数か月で亡くなってしまったのですが、がんではそれが普通だと、当時私は思っていました。

全部位の平均値

あらゆるがんの平均値ですが、国立がん研究センターによると

女性:66.9%
男性:62.0%

となっています。皆様のイメージと比較していかがでしょうか。

まだまだ課題があるとはいえ、がん検診の受診率が上がってきたことや、医療技術の進歩などで、がんでも長く生きることができるようになっています。

部位別がん5年生存率

 胃がん肺がん大腸がん乳がん前立腺がん
女性64.6%46.8%71.9%92.3% 
男性67.5%29.5%71.7% 99.1%
出典:国立がん研究センターがん情報サービス『部位別がん5年相対生存率(2009~2011年)』より筆者が作成


肺がんは日本人全体での死亡者数が多くなっているため、比較的低めの数値になっています。一方、女性、男性とも、それぞれの性で最もなる人が多い、乳がん、前立腺がんにおいては、5年生存率は9割を超えています。

また、がん10年生存率という数値もあり、国立がん研究センターによると、こちらは日本人全体で6割を超えてきています。がんでも長く生きていく方が増えていっています。

『がん=死』ではない

こうして数字で見てみると、がんになってしまったらもうおしまい、という思いも多少和らぐかもしれません。もちろん生存率が伸びているからといって、がんが怖い病気であることには変わりはありません。

ただ、こういった数字を知っているかいないかで、実際がんになってしまった時のショックの度合いも多少違うのではないでしょうか。

今の数値は過去の結果

この5年生存率や10年生存率は、今から5年もしくは10年以上前にがんの診断を受けた方の数値です。この5年、10年で新しい治療方法や薬がたくさん現れてきています。

ですから仮に今、がんの診断を受けた方の5年、10年生存率は、もっと高い数値になる可能性がある、そのような捉え方もできるのではないでしょうか。

がんを知り、がんの克服を

国が掲げる『第3期がん対策推進基本計画』というものがあります。そのキャッチフレーズは『がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す』というものです。

多くの人にがんに関心を持っていただき、正しく恐れ、正しい備えをしてもらいたいと考えているのだと思います。

がんはどれだけ予防行動をとっても、防ぎきれない、いわゆる運次第という側面もあると言われます。ですから誰にでも起こり得ます。そして自分がならなくても、家族や身近な人がなる可能性もあります。

まったく知識がないまま診断を受けてしまうと、どうしていいのかがわからず、うろたえてしまいます。それは、2010年夏、全く知識を持たずにがん患者の家族となった、私の実感でもあります。

是非思いついた時に備えを考えていただきたいと思います。

次回は『#11 2人に1人ががんになる』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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