#28 セカンドオピニオンの活用|がん保険のトリセツ|第2章 がんと治療のはなし
セカンドオピニオン。あなたはこの言葉を耳にしたことがありますか。がんの治療現場においては、以前よりもよく耳にするようになっているのではないでしょうか。
このセカンドオピニオン、万が一あなたががんの診断を受けてしまった時、使うか使わないかは別にして、選択肢としてあらかじめ知っている、ということが大切だと思います。
目次
セカンドオピニオンとは?
診断や治療選択などについて、現在診療を受けている担当医とは別に、違う医療機関の医師に求める「第2の意見」をセカンドオピニオンといいます。
これは、国立がん研究センター情報サービスでのセカンドオピニオンの定義です。治療の手段を決める前に、他の先生に相談することができます。
主治医の治療が前提だが…
セカンドオピニオンは、今後も現在の担当医のもとで治療を受けることを前提に利用するものであり、「セカンドオピニオンを聞くこと=転院すること」ではありません。
これは先ほどの国立がん研究センター情報サービスの定義の続きです。セカンドオピニオンの基本は、主治医から提案を受けた標準治療を、安心(納得)して受けるために、別の医師からも客観的な意見をもらうというものです。
違う治療の話しを聞くことも
ただ、がんの種類などによっては、手術も放射線治療も標準治療であるケースもあります。手術の提案を受けていたとしたら、放射線科の先生にセカンドオピニオンを取ることも考えられます。
また、例えば先進医療に指定されている治療に対し、自分のがんの場合に効果があるのか、受ける対象になるのか、といったことを確認したい場合には、その治療を行っている医療機関で、セカンドオピニオンを受けることとなります。
セカンドオピニオンの流れ
セカンドオピニオンを利用する場合、一定の手続きが必要となります。今日思いついて、明日話しを聞きたい、と思ってもそれはほぼ不可能です。
あらかじめある程度の流れを知っておくことも必要かと思います。また、実際がんになってしまった時に、その流れを確認したい場合、大きな病院に設置されるがん相談支援センターで、無料で相談することができます。
主治医に相談
主治医にセカンドオピニオンを受けたい旨、相談をします。セカンドオピニオンを受けるためには、主治医に紹介状など、用意してもらうものがあります。ただ『主治医に言いづらい…』といった声もあると言われています。
国立がん研究センターによると、もし、直接主治医に言いづらい場合は、がん相談支援センターや他の医療スタッフ(看護師や受付スタッフ)などに相談することもできるようです。
病院を探し予約
どこでセカンドオピニオンをとるか、行き先を探す必要があります。あなたがセカンドオピニオンに対して何を期待するのか、その目的に応じてふさわしい行き先が変わります。
病院選びが難しい場合も、がん相談支援センターで相談することが可能です。病院を探した後は、あらかじめ問い合せをして、予約を取ります。
セカンドオピニオンの注意点
主治医に資料などを用意してもらい、実際予約をした病院へセカンドオピニオンを受けに行きます。セカンドオピニオンに行くということは、何か目的があります。
何も考えないで、ただ行けばいい話しが聞けるかというと、そうではありません。一般的に時間の指定(30分など)もありますので、注意点を押さえておく必要があります。
話しを聞くにあたって
まず、セカンドオピニオンとして聞きたい項目をはっきりさせ、紙にまとめるなどしておくことが大切だと思います。医療を学んでいない人が、医師を前にしてスラスラと聞きたいことを聞くのは難しいかもしれません。
また、できればひとりではなく、信頼できる人に同席してもらうことも大切かもしれません。ひとりでない安心感と、複数の人の耳で聞いた方が、医師の話しに対する理解も深まるかもしれません。
時間的猶予に関すること
がんの種類や状態によっては、すぐに治療を開始しなければならないケースもあります。その場合には、セカンドオピニオンをとりに行くことは難しいかもしれません。
一方、考える時間をとれるケースでも、セカンドオピニオン、サードオピニオンと話しを聞いて回ってばかりで、逆によくわからなくなったなどということもあるようです。目的を明確にして必要なことだけをすることが大切かもしれません。
納得して治療を受けるために
セカンドオピニオンは、使う人によっては、治療を決めるために有意義な手段なのだと思います。それにより、安心、納得して治療選択をできた患者さんもいらっしゃると思います。
ただし、がんの告知を受けて、メンタル的なダメージの中で動かなければなりません。また、セカンドオピニオンは自由診療で受けるため、費用がそれなりにかかります。事前に以下の点は抑えておいた方がいいかもしれません。
あらかじめ流れを知っておく
先ほど触れたとおり、セカンドオピニオンを受けるには、一定の手続きが必要です。がんになってしまってから、ひとつひとつ確認することは、意外とストレスかもしれません。
一連の流れを知っておけばいいと思うのですが、少なくとも受けるためには
時間とお金と労力を要する
ということを知っておくことも大切だと、私は考えています。
期待する意見とは限らない
万が一あなたががんの告知を受け、別の治療を求めてセカンドオピニオンへ足を運んだとしたら…。セカンドオピニオンで、その治療についてのお墨付きをもらえることを期待するかもしれません。
ただ、がんの種類や状態により、主治医の提案する治療が最適であるというセカンドオピニオンかもしれません。自分が期待する答えを持ちすぎると、逆効果に成りかねません。セカンドオピニオンはあくまで、客観的な意見です。
最後に…
がんは情報戦とも言われています。黙っていても自分が欲しい情報が、主治医の方から自動的に提供されるわけではない。つまり自分で動いて取りに行かなければ、欲しい情報は入ってこない、ということなのだと思います。
ですからがんの備えとは、治療選択までの流れの中で、必要な情報を取得できるための準備も含めて、初めて成り立つのだと思います。そしてそれはがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。
是非、あなたのがん保険の担当者が、治療選択までの流れの中においても、サポーターであることを願っています。
次回から、第3章 がんとお金のはなしに入ります。最初は『#29 仕事を辞めない!』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇◆◇補足◇◆◇
このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。
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