がん保険の選び方|『安いがん保険がいい…』そのとおり、ただし何を安くするかが大切、というはなし

がん保険に限ったはなしではないですが、保険を考える時に、月々の負担(保険料と言います)は抑えたいと思う方は多いと思います。がん保険に加入したいけど、安くて保障が手厚いものを選びたいと思うのは自然です。

そこで今回は、がん保険のプランを決めるうえで、月々のコストを抑える手段と、がん保険に加入するのであれば何を優先すべきかについて、考えていきたいと思います。

まさに今、『Aがん保険、Bがん保険、どちらが安くてオトクか』と比べているあなたへ、お届けしたいはなしです。

月々の負担を安くする手段は2つ

例えば、

・がんの診断を受けたら、100万円お支払いします
・保障は、生きている限りの一生涯です
・月々の負担(保険料)は、5,000円です

といった内容のがん保険があるとします。このがん保険で、月々の負担(保険料)を落とすために、お客様サイドでいじる(選ぶ)ことができる場所が2つあります。

ただし、がん保険の商品ごとに、ルールがありますので、どこまでできるかということは、保険会社によって違います。ここでは、がん保険の一般的な仕組みという意味でとらえていただければと思います。

保障のボリュームを落とす

まず、月々のあなたの負担(保険料)5,000円を落とすためにできることのひとつ目。それは、

・がんの診断を受けたら、100万円お支払いします

の、100万円の設定を下げることです。例えば、これを50万円に下げることで、単純計算すると、月々2,500円に下げられます(金額はあくまでイメージとしてとらえてください)。万が一の際の受取金額の設定を下げれば、毎月の負担(保険料)も下がることが一般的です。保障を下げれば、負担(保険料)も下がります。

契約期間を短くする

もう一つの手段として、

・保障は、生きている限りの一生涯です

の、一生涯のところを短くすることがあります。これは、保険の専門用語で、『保険期間』と言います。いつまで、このがん保険に守ってもらうか(お金を払ってくれるか)という期間のことで、契約期間と考えていただいても良いと思います(※1)。

この保険期間を、例えば『10年間』といった、期間限定にすること、そしてそれを短くすればするほど、一般的に、月々の負担(保険料)は下がります。

(※1) 保険期間については、過去の記事「がんの備え|『終身保障か?定期保障か?』がん保険を選ぶ際の、ひとつのポイント、保険期間についてのはなし」を、是非ご覧ください

保険の目的を考えれば、期間をいじるべき

ではどちらの手段を重視してプランを考えていくか。がん保険への加入を考えた理由は何でしょうか。もしあなたが今、がんになってしまったら、お金に困る可能性があるからではないでしょうか。まだ十分に貯蓄ができておらず、貯蓄からがん治療費をまかなうことが難しいかもしれないので、がん保険を考えるのだと思います。

そういう目的であれば、必要な保障のボリュームは安易に落とさないことをおススメします。

50年後を今守る必要はない

そして、まだどうなるかわからない、何十年も先の保障に、今お金を払うことの必要性は低いのではないでしょうか。例えば、がん保険加入者であるあなたが、今30歳だとします。一般的な統計では、日本人は80歳まで生きるのであれば、2人に1人ががんになると言われています。

80歳で考えれば、まだ50年後です。もしかしたら80歳の頃には、がん治療や介護への備えとしての貯蓄が、十分できているかもしれません。また、基本的にそれを目指さなければなりません。そして、それをするための時間はまだ50年あります。一生涯の保障と聞くと安心感があるかもしれませんが、30年後、50年後の保険のために、今お金を払う必要は果たしてあるのか?そこがポイントとなります。

コストを抑えて貯蓄を作る

30歳であると、一般的には、まだ貯蓄は潤沢にできていない場合も多いかと思います。また、貯蓄があっても、マイホームや子供の教育費など、まだまだお金を使う予定も多いかもしれません。ですから、今がんになって、その貯蓄を取り崩すわけにはいかない、だからがん保険に加入します。今、そして当面の期間を守り、その間に貯蓄を作る。

貯蓄を築いていく期間を守る『定期保障』をうまく使うことで、毎月のコストを抑え、必要な保障を確保することができます。

なぜ安くしたいのか?

もともと保険を考えるうえで、月々の負担(保険料)を高くしたいという人は少ないと思います。毎月の家計出費になりますので、できれば誰でも安くしたいというのが本音かと思います。

『もともと安くしたい』が前提にもかかわらず、さらに、どうしても安くしたいという思いがあるとしたら、そこに目を向ける必要があると思います。がん保険は持っておきたいけれども、どうしても…。これには2つの理由が考えられます。

家計がキツい…

ひとつはシンプルに、保険料をあらたにねん出する余裕がない場合です。現時点で貯蓄もそれほどなく、かつ月々の収入と支出を見ると、余るお金が少ない場合、まずは家計の見直しから考えた方が良いと思います。もちろんがんへの備えも大事です。ただ、それを考えるならば、まずは毎月の支出を減らせないか?若しくは収入を増やす手段はないか、ここから手をつけた方が良いと思います。

少し余裕を作ってからがん保険に入らないと、途中で払えなくて解約というシナリオが考えられます。がんが怖くて加入したがん保険、それがお金を払えずやめなければならない、もしその直後がんになってしまったら…。かなりつらい思いをすることになります。それであれば、がん保険の前にできることを考えた方が安心です。

家計見直しができてがん保険を考えようとなった時、同時に貯蓄を作ることもやはり大事ですから、選ぶがん保険は、まずは10年などの定期保障で選択し、必要な保障を得ながらも、なるべく保険料コストを抑えるという考え方も検討することをおススメいたします。

もったいない…

がん保険に限らず、保険に加入すること自体がもったいないと感じる人もいらっしゃいます。がん保険もそうですが、死亡、入院、介護など、生命保険でカバーする対象は、若い年齢の間は、そのリスク自体は低いものです。ですから、私もあれもこれもとたくさん入る必要はないと思っています。

ただし、現実には若くして、がんを始めとしたアクシデントに合っている人は、確実に存在します。発生確率だけでなく、それぞれのアクシデントが起こってしまった時に、保険がなくても対応可能かどうかという点も、考えてみてはいかがでしょうか。

また、保険料がもったいないので、早く貯蓄を作ってしまうということを目標にすることも良いと思います。早く貯蓄を作って、もったいない保険から早く卒業する。それであれば、がん保険はやはり、10年などの定期保障が望ましいと思います。

がんの備えとがん保険の必要性を考える

がん保険を選ぶ時に、どうしても途中で終わる定期保障よりも、一生涯の終身保障が良いという方もいらっしゃいます。それは、人それぞれの価値観もあるので、全く否定するところではありません。ただその場合にも、がん保険が時代の変化に対応できず、将来がんになってしまった時に、十分保障が受けられないというシナリオもあり得ることは知っておく必要があります。

そのためにがんを知る

がんに対して、適切な備えをしていくためには、がん保険の選択の前に、まずがんを知ることが大切です。がんになってしまった後に、どのようなシナリオやどのようなお金が必要になってくるのか?といったことを、知ってからがん保険を選んだ方が、納得感も強くなります。

もしかしたら、もったいないと感じていた保険料が、必要経費として認識できるようになるかもしれません。そして何より、がんはお金があるだけでは戦えません。がんは情報戦とも言われていますが、適切な情報を持ち合わせていないと、納得した治療を受けられないとも言われます。

保険相談時を大切に

ただ、日本ではその情報だけを提供してくれる場所はあまり多くはありません。では、どこでその情報を仕入れるか?やはり、がん保険や生命保険を検討する時になるかと思います。

がん保険や生命保険の相談の機会に、あなたの保険の担当者から、がんに関する保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなど、実際がんになってしまった時の影像が浮かぶ情報を得ながら、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※2)(※3)。

がんと聞いて、がん保険商品の選択肢しか出せない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします(※4)。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。

(※2) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

(※3) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

(※4) 生命(がん)保険相談のセカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険選びにもセカンドオピニオン』一番大切なことは、オトクながん保険選びではない、というはなし」を、是非ご覧ください

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