【CFPが解説】がん自由診療の選択が招いた老後破産と医療孤立の悲劇|がんの備え

【自由診療に賭けた高齢がん患者さんにおとずれた老後破産とがん難民のリスク】

要約

老後の不安の中でも主要なものである健康への不安。そして老後の病気のとして思い浮かぶ『がん』。老後にがんを発症し、知識がないがゆえに科学的根拠のない自由診療に傾倒して資産を失うとともに、適切な医療からも孤立し、路頭に迷ってしまうことがあります。なぜそのようなことが起きてしまうのか、そうならないために何が必要なのか、見ていきたいと思います。

この記事は

■そろそろがんが気になり始めている
■老後に漠然とした不安を感じている
■でも何から手をつけていいのかわからない

といった方のためにまとめてあります。

このコラムを読むことで

●がんで資産を失ってしまうケース
●がんに備えるうえで持つべき基礎知識
●老後の備えのために必要なこと


がわかります。

『がんが不安』『老後が不安』と感じると

・お金をたくさん貯めておかなければ
・がん保険に加入しておこう

などと考えるかもしれません。もちろんお金の備えは大切です。ただし、お金だけたくさん持っていても、がん治療の実態やお金の使い方を知らなければ、最悪の場合老後破産という悲劇を招く可能性があります。老後へ向けてお金とともに、知識を蓄積していくことがとても大切です。

そういったことについてなぜ大切なのか、事例をもとに一緒に見ていきたいと思います。

まさに今、『老後のがんの備えとして保険ショップで終身保障のがん保険を選択』しようとしているあなたへ、お届けしたいはなしです。

はじめに

東京都三鷹市在住、年金生活者で68歳男性の沖田正行さん(仮名)。

大学卒業後、大手家電メーカーに勤め60歳でいったん定年退職、その後65歳まで継続雇用を選択肢し引退。現在住んでいるマンションの住宅ローンは現役時代に完済し、退職時に3000万円の貯蓄を確保。65歳から受給開始した老齢年金の手取り額は月当たり約25万円ということで、お金の面では不安はありませんでした。

しかし引退後は同い年の妻と旅行を楽しみながらセカンドライフを過ごそうと思っていた沖田さんですが、61歳の時に妻が乳がんに罹患。妻は4年にわたって闘病生活を送り、沖田さんも献身的にサポートしてきましたが、最後はがんが全身に転移し3年前65歳で亡くなりました。沖田さんには子供がいないため、現在は一人暮らし。

最愛の妻を早くに亡くし、茫然自失の日々を過ごしていた沖田さんですが、1年が経過した頃ようやく現実を受け止め、孤独感を味わいながらも何か生きがいを見出して前向きに生きなければとも思い始めるようになりました。

沖田さん夫妻は旅行が趣味だったので、これからは過去の思い出の土地を再び旅行してみるのも悪くないかと考えていたのですが、そんな矢先の健康診断で要精密検査の結果があり、検査を受診。すると66歳の時、沖田さん自身にも胃がんが発覚してしまいました。

『副作用が少ない』に引かれ決断

主治医からがんは早期の段階なので、手術でがんを取り除けば治癒を目指せると言われた沖田さんですが、ある思いがありいったん回答を保留して帰宅しました。そして妻が乳がんの闘病中にネットで調べていて『副作用が少なく体に負担のないがん治療』というキャッチフレーズが目についた

免疫療法

と言われる治療を検討することにしました。この免疫療法と言われる治療、自由診療という位置づけで健康保険証が使えず治療費は全額自己負担となり、一般的にはかなり高額になると言われています。

それでも沖田さんは都心の一等地にある免疫療法を行うクリニックの無料個別医療相談に参加。対応してくれたのは実際その治療を行う医師で、どのような治療なのか丁寧に説明してくれるとともに、がんの診断を受け気落ちしている沖田さんに寄り添い励ましてくれました。

ずっとパソコンを見ながらたんたんとしゃべる主治医とは違い、自分に共感してくれたこともうれしく、後日の診察で主治医に手術は受けず免疫療法を選択する旨を伝えました。

主治医からは、自由診療の免疫療法は科学的根拠に乏しく、かつ費用も高額になるため、中にはがんが悪化し取り返しのつかない状態になり、かつ経済的に破産を招いている事例もあるということを伝えられ、考え直すことを勧められました。

ただ、沖田さんは過去の経験もあり主治医の言葉を重く受け止める気にならず、最後は「もうけっこうです」と、主治医の会話をさえぎって診察室を後にして、その病院とは決別することにしました。

妻のがん闘病の経験から標準治療を拒否

沖田さんが自由診療の免疫療法を選択したことには過去の経験からの思いもありました。妻が4年間乳がんの治療を受けた際、今回の沖田さんが提案されたように治癒を目指して手術を受けました。そしてその後も再発予防のために薬の治療も続けました。

ところが手術から2年で肺への転移が発覚。その時はもう手術はできない状態で、抗がん剤治療という薬での治療を開始。妻にとっての抗がん剤治療は、脱毛、倦怠感、めまいなど強い副作用を伴い、途中で『もうやめたい』と弱音が出るほど大きな苦痛を伴うものでした。

妻の辛い姿を見て何か良い方法は無いかと、沖田さんはネットで『乳がん 転移 治療』といったキーワードで検索し情報収集をしました。すると

体への負担が少ないがん治療

というタイトルが目につき中を覗いてみると、それが免疫療法と言われる治療でした。この治療ですが、がん患者さんの血液を採取し、特殊な装置にかけてその血液を培養し免疫力を上げ、それを再び体内に戻してパワーアップした免疫力でがんを叩く、というような治療でした。

理屈的にとても理にかなっていると思える内容で、何より副作用がほとんどなく体への負担が少ないということに魅力を感じ、次の診察時に主治医に「免疫療法はどうなんですか?」と尋ねました。

すると主治医からは沖田さんが目にした免疫療法は、『科学的根拠に乏しく効果が期待できない』と一蹴、引き続き抗がん剤治療を続けることを推奨され、沖田さん夫妻も、主治医の言葉を信じ、がんが治ることを願って治療を継続しました。

抗がん剤治療で一時期はがんの縮小も確認でき喜んでいた沖田さん夫妻でしたが、ある時期から薬の効果が無くなり、別の薬に変更ということを何度か繰り返して治療を継続してきましたが、最終的にがんは全身に転移。そしてある日の診察で主治医から告げられました。

「もうこれ以上治療の手段がありません。ここでできることはもうないので、今後は在宅医療に切り替えてください」

沖田さんは絶句しました。今まで懸命に治療に耐えてきたのに、突然の治療打ち切りの宣告。病院と主治医に見捨てられたと絶望しました。そして妻は在宅医療に移行し、緩和ケアを受けていましたが、約2か月後に体調が急変して亡くなりました。

そんな出来事があったため、沖田さんはもし妻が免疫療法を受けていたら「あんなに辛い思いをすることはなく、もしかしたらがんが治っていたかもしれない」という思いを持っていました。

資産が消失し、医療からも孤立

沖田さんは主治医が推奨した標準治療と言われる手術を拒否し、自由診療の免疫療法に賭けてみました。治療は3週間に1回通院、それを6回続けるというのが1クール、その後経過を見ながらもう1クールという具合で沖田さんは治療を続けてきました。

費用は1クールで約350万円と決して安くはないのですが、貯蓄もありその使い道も特になかったので、特に疑問に思うこともなく支払いを済ませていました。どこかに自分の治療選択が正しかったということを証明したいという思いもあったかもしれません。

がんが消えるということはありませんでしたが、とくに悪化することもなく、元気に日常生活を送れていたので、沖田さんは免疫療法の効果が出ていると感じていました。1クール終わるたびに医師から「引き続き頑張っていきましょう」と寄り添い励ましの言葉があったため、沖田さんも前向きに取り組みました。

そんな生活が2年半続いていましたが、その時の検査でがんが全身に転移していることが確認されました。ずっと小康状態を保ってきたのに、突然がんが体中に広がっている画像を見せられ茫然となった沖田さん。そして免疫療法を行う医師から告げられました。

「これ以上行っても効果が見込めないため、今回を持って治療は終了としたいと思います。」

いつかがんが消えることを願い、高額の治療費を払って継続してきた沖田さん。気づけば貯蓄残高は200万円を切っていました。

医師に今後はどうしたらよいか尋ねると

「ここではもうやりようがないので、元の主治医に相談してみてください」

とそっけないもの。元の主治医とは免疫療法を選択する際に険悪な関係となってしまい、いまさら相談できない。貯蓄をほとんど失い、そして治療の場も失い、沖田さんは絶望してしまいました。

自己判断が招く老後破産と医療不安

がん自由診療の免疫療法を選択し、最後はがんが悪化、貯蓄のほとんどを失い、そして医療の行き場も失ってしまった沖田さん。どうしてこのようなことになってしまったのでしょうか。

今回沖田さんは胃がんの診断を受け、主治医から勧められた健康保険証が適用で比較的小さな経済的負担で受けられる『標準治療』の手術を拒否。健康保険証がきかず治療費が全額自己負担で高額な負担となる自由診療の免疫療法を選択しました。

どんな選択をするかはもちろん自由ではありますが、今回の結果は沖田さんが望んでいたものとは言い難いものです。

自由診療の免疫療法を選んだきっかけのひとつには、妻のがん闘病時の辛い経験などがあったのですが、もしかすると、沖田さんはその時点から一定の誤解をしてしまっていた可能性があります。その思い込みがご自身のがん診断でさらに強固になり、最終的に今回の流れに至ったのかもしれません。

日本におけるがん治療において、沖田さんは2つの誤解をしていた可能性があります。以下でそれぞれ見ていきたいと思います。

科学的根拠に乏しい免疫療法に傾倒

沖田さんは過去に、妻が標準治療を受けてきたが最終的に主治医から見放される形で治療が終了したことから、がんの標準治療は副作用などで苦しい思いもするし、結局は治らないという思いになっていました。

そしてその標準治療を提供する医師から、自由診療の免疫療法について否定をされたため、なおさらお金をかけてでもそちらを受けた方が治る確率が高いと感じていた可能性があります。

どちらの治療を選ぶかは自由ではありますが、本当に医学的な根拠にもとづいて判断をしたのかというと、そうではなかったと言えるかもしれません。ネットで検索して出てきた治療に魅力を感じ、詳しく調べることもなくそのクリニックへ行って治療を受けることを決断してしまいました。

一般的に、物やサービスは金額が高額であるほど、性能や品質が良くなると言えます。例えば家電品。同じテレビでも、金額が高額になるほど画面の大きさや画質、付随する機能も良くなります

そういった感覚で医療をとらえた時に、がんの免疫療法など自由診療の治療は、1回あたり数百万円の自己負担となるものもあり、金額が高いから治療効果も高いと錯覚してしまう可能性があります。

結果、沖田さんは過去の経験と『高額な治療=効果が高い治療』というイメージで、がん治療の選択という非常に重大な決断を行ってしまったのではないでしょうか。

まずひとつ目の問題点ですが

治療選択の根拠となる情報が少なすぎた

ということがあげられます。

医療という一般人では適切な知識を持ち合わせない分野においては、判断するためにもう少し時間をかけて情報収集して、慎重に選択することが大切ではないでしょうか。

資産とともに医療との接点も失う

2つ目の問題点ですが、それは

これからのことという視点がなかった

ということです。

沖田さんは、免疫療法で貯蓄の大半を失うとともに、がんも悪化してしまいました。しかし、もともとの主治医とは免疫療法を選ぶ時に関係が悪化し、気軽に相談できる状態でもなくなってしまい、治療を受けるための行き場も失いました

日本のがん治療現場において『がん難民』という言葉が使われている時期が過去にありました。これは

医療を受けたいにもかかわらず何らかの理由で適切な医療にたどりつけていないがん患者さん

を指す言葉として使われています。理由は様々ですが、経済的なことも大きな理由のひとつですし、今回の沖田さんのように主治医との関係が悪化ということもあげられています。

今後医療機関が見つかり再び治療を受けるかもしれませんが、経済的な余裕がなくなっており、万が一がんが悪化し介護の必要が出てきた時などに対してゆとりがほとんどない状態です。免疫療法を行って貯蓄が少なくなっていく際に、今後何か別のアクシデントが発生したらという発想が持てなかったのかもしれません。

貯蓄に余裕がある人ほど、がんの自由診療に傾倒して最終的に経済的な困窮を招くということも耳にしたりします。正常な判断をできなくさせるのもがんという病気の怖さであり、特殊性であるかもしれません。

日本のがん治療現場の前提条件

今回の沖田さんの事例において

・自由診療の免疫療法で貯蓄の大半を消失
・がんが悪化したが医療を受けることができない

という深刻な問題が発生しました。

このような出来事を引き起こした原因のひとつとして

医療に関する知識の不足

があげられると思います。

沖田さんは、妻のがん治療の体験から主治医から提案される治療を拒否しました。この主治医から提案される治療は『標準治療』と言われるもので、健康保険が適用となり誰もが発生した医療費の1~3割(年齢等で負担割合は変わる)の負担で治療を受けることができます。それに対して自由診療は全額(10割)自己負担で受ける治療で、患者さんが支払う金額はかなり高額になる傾向があります。

その自己負担額の違いについて『高額だから効果も高い』と捉えることは誤った判断になります。国立がん研究センターによると、がんの標準治療とは

科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます

と定義されていて、今までの大量の臨床試験の結果などから導き出された最良で推奨されるべき治療となっています。多くの人に推奨される治療だからこそ、国は健康保険適用として患者さんが少ない自己負担割合で受けられるようにしているわけです

そういった前提のもとで、それでも違う治療を選択する場合、やはり選択するための根拠となる医学的なデータをもとに判断する必要があるのだと思います。

ここでは、今触れたがんの標準治療の位置づけとともに、日本でがんになった時のためにあらかじめ知っておくべき事項として

・先進医療から外された免疫療法
・主治医との円滑なコミュニケーション

を確認していきたいと思います。

先進医療から外された免疫療法

日本の医療の現場には『先進医療』と言われる医療が存在します。国立がん研究センターによると、先進医療とは

保険診療として認められていない医療技術の中で、保険診療とすべきかどうかの評価が必要であると厚生労働大臣が定めた治療法(評価療養)です。効果や安全性を科学的に確かめる段階の高度な医療技術で、実施できる医療機関が限定されています。

と定義されています。つまり今後健康保険の適用にするか、確かめている段階(実験段階)の治療と言えます。実際に治療を行って確かめるわけですが、一定の数の治療結果をもとに、健康保険適用となるものもあれば、望ましい結果が得られず健康保険適用にしないと判定されるものもあります。

実は数年前まで

樹状細胞および腫瘍抗原ペプチドを用いたがんワクチン療法

というがん免疫療法の一部が先進医療として行われていましたが、現在はすでにその指定から外されています。

国立がん研究センターは、効果が証明された免疫療法はまだ一部に限られていて

例えば、自由診療で行われるがんペプチドワクチンや、樹状細胞ワクチンを使うがんワクチン療法などは、「効果が証明されていない免疫療法」で、医療として確立されたものではなく、かつ保険診療で受けることができません。そのため、治療効果、安全性はもちろん、費用の面からも慎重な確認が必要です。

と発信し、注意喚起しています。

ただ、国は健康保険適用とはしなかった一方で、この治療を独自に行っている医療機関は世の中にたくさんあるという事実があります。今回の事例の沖田さんもまさにそういった医療機関HPの治療情報に魅力を感じ、実際治療を受ける運びとなりました。

沖田さんが、国が行ってきた先進医療でのデータを超える判断材料があったのであればよいのですが、おそらくそうではなく感情的な面での要素、そして経済的なゆとりから結論を出してしまったのではないかと推察されます。

一般人が医療に対する判断をするためには、相当慎重に行う必要があるのではないかと思います。

重要な主治医との関係

がん患者さんの中には、今回の沖田さんのように主治医からの提案とは違う治療を選択する方も実際いらっしゃいます。ただ仮にそういったことを検討するにしても、主治医との関係は大事にしなければなりません。

やはり医療情報を提供してくれる専門家ですし、あなたの病状を一番よく知っている存在です。迷いがあれば、まず主治医に相談することが答えを得る近道であると思います。

また、万が一違う治療を選択したい場合でも、主治医から紹介状や診療情報などを準備してもらう必要があります。そして、他の治療を検討したものの、やはり当初の主治医の治療に戻ってくるということも考えられます。

今回沖田さんが主治医に対して信頼感を持てなかった理由のひとつに、妻のがん治療時に主治医を信頼して標準治療を受けていたにもかかわらず、最終的に見捨てられたという体験があったということがあるかと思います。

これは私自身も母のがん治療時に体験したことがあります。主治医から別室に私だけ呼び出され、標準治療をやり尽くし、これ以上治療の手段がないということを告げられました。残念ですが、そもそも標準治療は無限にあるわけではないので、がん治療が長期化した時にはこの結果もあり得ることと言えます。

日本ではお金を払えば簡単に医療が受けられる、また医療を受ければ何でも治るという印象を持ってしまいがちですが、がんはまだまだ分からないことが多く、残念ながら昭和56年以降ずっと日本人の死因の1位であり続けています。

こういった、現時点における事実をあらかじめ知っておくことで、がんと向き合った時の精神衛生面の乱れを多少緩和することができるかもしれません。

がん治療から老後破産を招かないために

がんは日本人の国民病とも言われますが、毎年約100万人が新たにがんの診断を受けています。老後の備えを考えるにあたり、がんへ備えも欠かせないもののひとつと言えるのかと思います。では、老後やがんに備えると考えた時に、どういったアクションがイメージされるでしょうか。

それに対して多くの方が

お金を貯めておく

と考えるのではないでしょうか。もちろんとても大切なことだと思います。では、お金が潤沢にあれば不安はすべて解消できるのでしょうか。今回の事例を通じて学ぶべきことは

お金だけで老後の不安のすべては解決しない

ということです。

老後の不安として多くの方があげるものとして、医療や介護など健康上の不安があります。これに対して経済的な備えとともに、日本のがん治療のルールや国の方針など、医療に関する基礎知識の備えも必須であると言えます。

がんで老後破産を招かないために、現役時代から行うべきことが2つあると、私は考えています。

適切な資金管理と最新医療情報の取得

がん治療最前線は、日進月歩で変化しています。がんはまだまだ分からないことも多く、新しい治療や薬の研究開発が世界中で行われているので、今後もその流れは変わらないと考えられます。

またそれに応じて国のがん対策の基本方針や健康保険制度などの変更が行われる可能性もあります

つまり、日本でがんになってしまった時に、どのような治療の選択肢が存在し、それに対してどのような選択が適切か、そしてその選択をとった時にどの程度の経済的負担が生じるか、といったことについて最新情報を持っておくことが必要な備えと言えるかと思います。

そしてこういった情報は常に変化していく可能性があるため、最新情報をどこから収集するかという、情報の出どころを知るということも必要になります。

そういった適切な情報があるからこそ、どの程度の余裕資金(貯蓄)を蓄えておく必要があるか?がん保険などでの備えが必要かどうか?ということを算出することが可能になります。

また今回の事例のように、持っている貯蓄をすべてがんの自由診療に費やしてしまうと、その他のアクシデントに対する備えが無くなってしまいます。資産を適切に管理しながら出費を判断していくスキルを現役時代から身につけていく、ということも老後の備えのひとつなのだと思います。

【最重要】早めのサポーターの確保

今述べたように、がんの自由診療などで老後破産を招かない、適切な老後の備えをするためには

・適切な情報
・資産管理のスキル

が必要です。もちろんお金も必要なのですが、使い方を学んでなければ気分や感情で浪費してしまい、最終的に破産リスクを招きます。

では、その情報とスキルを得るためにどうしたらよいか。もちろん自分で学ぶということがベースとなると思います。プロにお任せというだけでは、やはり今回のような事例を引き起こす可能性があります。ただ一方で、すべてを自分で学ぶとなると、必要な情報とスキルは多岐にわたるため、かなり難しい可能性もあります。

そういった意味で、早いうちから老後の備えを行いたい老後破産のようなリスクはなくしたい、と考える方に対して贈るメッセージとして

早いうちから相談できる人(場所)を確保する

ことがあげられます。

今回のような事例に対する専門家としては

がんや医療への備えを専門とするファイナンシャルプランナー(FP)

の存在があります。また

がんに詳しい保険担当者

なども選択肢としてあげられるかと思います。何か専門的なことを相談したいと思った時に

どこで、誰に相談できるのか?

ということがわからないことも少なくありません。そういった選択肢を知っておくことも実は大切です。

高齢者の社会的孤立という言葉がありますが、今回の事例の沖田さんには、相談できる人がいなかったという点もひとつ重要なポイントであった可能性があります。

30代40代といった若いうちから、必要な情報とスキルを学びながら老後資金を築いていく、そのために気軽に相談できるサポーターを早めに確保しておくことをおススメいたします。

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