#12 うちがん家系だから…|がん保険のトリセツ|第1章 がんを知る

私は過去に10,000回以上の保険相談会に携わってまいりました。その中で『うちがん家系だから、がん保険に入りたい』とおっしゃる方が多くいらっしゃいました。

確かにがん家系という言葉、日本ではよく耳にします。祖父母、両親の中で、複数のがん経験者がいると、『自分も…』と、自然と怖くなるのかもしれませんが、あなたはいかがでしょうか。

『遺伝する病気』は誤解

日本で定着しているがんの遺伝性。実際遺伝性が確認されているものもあるそうですが、『遺伝する病気』とまで言えるほど、数は多くはないようです。

私も祖父、母ががんを経験しているので、以前は自分もがんになってしまうのだろうと思っていましたが、今はその考えは解消されています。

全体の5%程度

乳がんなどにおいて、遺伝性が確認されているのはあるようですが、割合的にはかなり少ないと言われています。

こうして情報を確認することで、過度な心配は解消できるかもしれません。これもがんを知ることの大切さと言えるのではないかと思います。

遺伝子の病気

がんは遺伝子の病気と言われます。何らかの原因で遺伝子が損傷を受けることにより発症します。その遺伝子の損傷を親から遺伝で受けることは少ないようです。

基本的には、その遺伝子の損傷は後天的に生じるので、その原因のひとつとなる、喫煙や飲酒など生活習慣を見直すことが大切です。そして、どうしても運次第というところもあるので、がん家系に関わらず、すべての人が気を付けることが大切だと思います。

30歳夫婦典型的な相談事例

過去に保険相談にいらっしゃった方で、日本におけるがん家系のイメージを表す、典型的な相談事例がありました。

その相談者は30歳のご夫婦で、結婚を機に生命保険全般の見直しを目的にいらっしゃったのですが、妻の方から以下のご要望がありました。

がん家系の夫、そうでない妻

『私の方は大丈夫なのですが、夫はがん家系なので、夫の方だけはがん保険をかけておきたい』というもので、お気持ちはとてもよくわかります。

いったんお気持ちは受け止めつつ、がんの遺伝性など、がんという病気の特徴、そして30歳の場合、乳がんや子宮がんなどで、女性の方がよりがんになるリスクが高い旨ご理解をいただき、ご夫婦相互に備えをしていただきました。

知る必要はどちらにもある

がん保険など保険のかけ方は、例えば夫だけ加入や妻だけなど、相談者の状況に応じて変わってきます。ただ、保険が夫婦のどちらかだけだとしても、大切なことがあります。

それは、二人ともがんを知っておかなければならない、ということです。自分がならなくても、がん患者の家族になることもあります。ですから、すべての方ががんを知るということが大切であると、私は考えています。

その誤解は悪くない

私も過去、自分ががん家系の人間でリスクが高いと誤解していました。ただ私はその誤解については、悪いことばかりではないと感じています。

それは、今までたくさんの方の保険相談会を担当してきて感じたことです。先ほどの相談事例もそうですが、実はがん家系と思っている人とそうでない人では違いがあります。

考えるきっかけになる

自分ががん家系だと考えている人は、がんが怖いと感じていることが多いと思います。そうすると、がんへの備えをしておきたいと考える人も多くなると思います。

そうすると、相談に行くという行動につながります。怖さを持っていると、備えたいという意思につながる点は、メリットであると私は考えています。

きっかけがない人もいる

がんが全然身近でない場合、がんに対して全く関心がわかない可能性があります。関心がなければ備えをすることもありません。積極的に知ろうとも思わないかもしれません。

そして、がんについて何も知ることなく、その後がんの告知を受けてしまうこと。このケースにおいて、最もメンタル的ダメージが大きくなってしまうかもしれません。

きっかけがあれば速やかに

がんになるリスクは、年齢が上がるほど高くなるということは事実です。ですから過去の保険相談でも、『がんは40歳を超えてから考えたい…』といった声もよく耳にしました。

しかし、40歳になった時にゆっくりがんのことを考えるゆとりがある保障はありません。また、がんを知らない人が、40歳になった時に必ずがんを考えようと思うとは限りません。きっかけを逃さないでいただきたいと思っています。

がん保険の前にがんを知る

がん保険の必要性はその人の状況に応じて変わります。ただ、がんを知ることだけは、少しでも早いに越したことはありません。

そういった意味もあり、国は数年前から学校でのがん教育をスタートさせています。しかし、すでに社会人になってしまっている私たちは、自分の意思がないとがんを知ることができません。

がんは意外と身近な存在

あなたがまだ若い世代であった場合、あなたががんになる確率は高くはありません。ただ、祖父母がいる、両親がいる、兄弟がいるというように、あなたの周りにはたくさんの身近な存在があります。

自分がならなくても、がん患者の家族となる確率で言えば、決して低いとは言えません。以前も触れましたが、日本では今、2人に1人ががんになるという時代です。

身近にがんの経験者がいない方は、がんを考えるきっかけすらないかもしれません。ただし、がんを知らずにがんとの戦いに入ることは、本当に怖いことだと、私は考えています。

少ないきっかけのひとつとして、生命保険相談の場があります。ここでは、がんが話題となることも少なくありません。

是非、がんを語れる保険の担当者から、がんを知るという備えをしていただきたいと思います。

次回は『#13 がん難民の存在』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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