#17 備えの時点で知るがん治療のこと|がん保険のトリセツ|第2章 がんと治療のはなし

今回からがんの治療について触れていきます。ただ、このコラムは医学をテーマにしたものではないですし、私は医師ではありません。ですからがんになってしまった時、どの治療がよいか、というはなしではありません。

がんの告知を受けた時、適切な行動や選択ができるよう、日本のがん治療の体系やがん治療の大きな分類など、がんになる前に備えておきたい情報をお伝えしていきたいと思います。

提案される治療の位置づけ

私たちが日本でがんの告知を受けた時、主治医の先生から最初に提案される治療があります。そしてその治療を受けるかどうか、先生から判断を求められます。

その治療ですが、果たして何を根拠に提案されるのでしょうか。先生の長年の経験からのおススメなのか?実はそれは違います。

国の方針に基づいた治療を提案

一般的に、がん治療を行う大きな病院で主治医の先生から提案される治療法は、国ががん患者さんに対して推奨されるべき治療と判断している治療方法です。

もちろん受けなきゃいけないという義務はありませんが、数多くの臨床試験を経て、最も科学的根拠に基づいた治療という位置づけになっています。

それ以外の治療もたくさんある

ただ、日本には国が推奨する治療以外にも、たくさんのがん治療の選択肢があります。とてもたくさんの治療情報があり、その情報の渦に巻き込まれ、逆にわけがわからなくなった、そんながん患者さんもいらっしゃいます。

具体的なことは別で触れますが、まず、この国が推奨する治療か、それ以外の治療なのか、大きく2つに分類されるということを知っておく必要があります。

相談場所を確保

いくら事前にがんのことをしっかり勉強していたとしても、がん治療の実態は変化していきますし、国の方針も変化するかもしれません。

がんになってしまった時の、最新の情報が必要になるわけですが、その情報を得るための助けとなる場所を知っておくことが大切だと、私は考えています。

がん相談支援センターの存在

がん治療を行うある程度大きな病院には、がん相談支援センターが設置されています。これはがん患者さんやその家族が、がんに関するあらゆる相談ができる場所として、国の方針で設置されたものです。

治療のことはもちろん、仕事やお金のこと、様々な相談を無料で行うことができます。ここを最新の情報を得るためのひとつの拠点として、知っておくとよいかもしれません。ちなみに自分がかかっていない病院の支援センターも利用可能です。

セカンドオピニオンの選択肢

がん治療の現場では、セカンドオピニオンという言葉を耳にします。これは、主治医の先生から提案された治療が適切かどうか、別の医師に客観的な意見を聞く、というものです。

これも治療が終わってから知っても意味を成しません。また、これを利用するためには一定の手続きも必要です。こういった選択肢があることを知っておけば、がん相談支援センターで利用の仕方を教えてもらうことも可能です。

ネット検索の注意点

今はどこにいても、スマートフォンがあれば情報を検索することができます。がんになってしまった時、ネットで様々な情報を得て、良い治療を選びたいと考える人もいらっしゃるかと思います。

ただし、ネット検索して、自分で情報収集する際には注意が必要です。最初に言えること、それは情報量が膨大だということです。

国が推奨・承認しているか?

先ほどの治療情報と同じで、国が推奨する科学的根拠に基づいた情報と、そうでない情報が入り混じっています。まず新たな情報に触れた時に、この色分けをすることが大切だと思います。

国が推奨・承認している治療に関しては、もうすでに治療効果が確認されているものなので、メリット・デメリットがある程度はっきりしています。

末期がんが消えた!のインパクト

一方、タイトルや見出しでインパクトのあるものを見つけると、やはり覗いてみたくなるかと思います。特にがんの告知を受けた後、不安な状態にあれば、なおさらかもしれません。

しかし、国が推奨・承認していない治療の場合、あなた自身がその治療が適切かどうか判断しなければなりません。検討に値する材料があるかどうか、見極める知識が必要です。

おまかせではなく選択を

医療の知識について、一般人が自力で完璧に学ぶのは非常に難しいかもしれません。わからないので、プロに全てお任せしたいという思いにもなるかと思います。

ただし、国が推奨する治療は確かに科学的根拠に基づいているところはありますが、何らかのデメリットの面はあります。また、必ずそれで治るということも保障はされていません。

主治医への信頼は大切だが…

主治医の先生からの治療提案を受け入れるにしても、やはり一定の吟味を自分ですることは大切なのかと思っています。医師を疑うということではなく、自分でも確認するということが必要ではないでしょうか。

先生の人柄がよく、丁寧に接してくれると、先生に全てお任せしたいという思いになるかもしれません。私も過去に母のがんの告知の場で、まさにそういった行動をとりました。しかし、あるものが足りない、ということを後で感じました。

納得するために選択して決断を

言われたものをただそのまま受け入れるだけだと、治療が終わってから別の治療法の選択肢を知った時、あっちを選んでいたらどうだったのだろう…という思いが沸きました。

やはり一定の治療の選択肢を知り、そのメリット・デメリットをふまえ、最終的に主治医の先生の提案を自分で選択する、それがある方が納得感や治療に対する前向きさも出てくるかもしれません。

今回触れた内容は、がん保険の提案を受ける時には、あまり話題として出てこない場合があります。その理由は

①保険の担当者に知識がないこと
②このはなしをしなくてもがん保険は売れること

の2つです。

がんになる前の人が、がんのことを話題にしてはなしをする機会はほとんどありません。その少ない機会のひとつが、がん保険加入時です。ですから、その担当者の質は、本当に重要だと、私は考えています。

是非、あなたのがん保険の担当者が、がんの告知を受けた瞬間からのサポーターであることを願っています。

次回は『#18 がんの標準治療』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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