がん保険の選び方|『がん治療までの流れから考えるがん保険』いつもらえるかによる違いを知ることも大切、というはなし

がんは怖い!というイメージがあるものの、具体的にどういう病気で、どういったことで怖かったり、辛かったりするのか。自分ががん患者になるか、家族にがん患者がいるという状況にならないと、実際にはわかりづらいと思います。とはいえ2人に1人ががんになるというはなしを聞くと、『怖いので…』とがん保険に加入したりします。

がん保険のパンフレットを見ると、どういった治療があるかや、どのくらい入院するか、費用がどのくらいか、といったことに対する案内があります。ただ、がんが見つかるまでの流れ、ということはあまり目にしません。あまり重要ではないと思われているのかもしれませんが、私はがんが見つかり、そして治療を受けるまでの流れを知っておくことも、がん保険選択の役に立つと思っています。

そこで今回は、一般的に私たち日本に住む人が、どのような流れでがんが見つかり、どのような治療を受けることになるのか、そしてそれをふまえたがん保険の選択について、一緒に見ていきたいと思います。

まさに今、『いろいろながん保険を比較』しようとしているあなたへ、お届けしたいはなしです。

病院へ行っていきなり『がんです』は、ない

がんがどのように見つかるのか?なった後の治療の大変さや、お金のことなどは、最近芸能人やスポーツ選手などの著名人の方が、ご自身のがん闘病について語ってくれることが多いので、なんとなく目にすることもあります。

しかし、発見されるまでのプロセスは、そこまで目にする機会はないような気がします。がんは、病院へ行って、いきなり診断されることはありません。これからがん保険など、がんの備えをするにあたって、このがん治療までの流れは知っておいても良いと思います。

まずは何らかの受診

最終的に、がんの診断を受けるとしても、まず最初は何らかの理由で受診をします。その内容は、大きく以下の3つに分けられます。

① 何らか体調不良で受診
② 健康診断受診
③ がん検診受診

上の理由で受診をして、特に異常が無ければ、それで終了です(体調不良の場合は、症状が治まれば)。ただし、受診の結果、精密検査を受けることを勧められる場合があります。

そこでの要精密検査判定

受診の結果、がんの恐れがある場合、あらためて精密検査を受けることを勧められます。①の受診の時は、先生からその内容を伝えられるでしょうが、②と③の場合には、結果が郵便で送られてきて、知ることが多いと思います。

①のケースにおいては、先生から直接言われることで、事の重大さを理解することができるでしょうが、②、③の半強制的に受けさせらる検査の場合、しかも結果がしばらくたってから(数週間後など)届くため、人によってはそれほど重くとらえないかもしれません。そのせいで、精密検査の受診が遅れ、がんが進行してしまうことも考えられます。

紹介状をもらって、がん治療を行う病院へ

要精密検査の判定が出ると、その受診機関で紹介状を用意してもらい、がん治療を行う医療機関などで、精密検査の予約をして、再度詳しい検査を受けることになります。病院へ連絡し、今からすぐにということはあまりないと思いますので、ここでまた、一定期間待つことになります。

精密検査受診

予約日になり、精密検査を受けますが、何も異常が無ければ、その場で結果を伝えられ、終了となることもあります。ただし、内視鏡検査などで、何か異常を発見したら、ひとまずその場で組織を採取し、病理検査(顕微鏡による検査)にまわり、その結果がでるまで待つことになります。

またしばらく待たされる

異常なしではなく、組織を採取し調べるということになると、一定の日数を要しますから、後日結果を伝えるための日程が決められます。それまでは、少し悶々として気分で、毎日を過ごすことになるかもしれません。

結果を聞きに行って、主治医の先生から告知を受ける

病理検査の結果が出ると、患者さんを担当する医師へ結果が伝えられ、再びの予約日に、その先生から結果を伝えられます。当然、がんではなかったという結果もあり得ます。そうであれば、その内容について先生から説明があり、そのまま終了なのか、半年後など、一定期間後に念のためあらためて検査をすることを勧められるという流れになるのだと思います。

ところが、がんが見つかった場合には、はなしが違います。それまで、わりと待たされる時間の方が長かったのですが、診断が悪性のがんであった場合、ここから一気にペースアップします。

がんが見つかりました…

がんだった場合、主治医の先生から、がんの告知を受けます。私も、2010年に母の乳がんの告知に立ち会いましたので、その時のことはよく覚えています。

『谷藤さん、残念ながらがんが見つかりました…。』

という告知とともに、見つかった場所や進行度合い(ステージ)などの説明が、ある程度先生からの一方送信で行われます。当時はがんに対する知識などの備えが全くなかったため、正直なところ先生の説明はあまり頭には入りませんでした。

すぐに治療のはなしへ

そして、現状の説明が終わるとすぐに治療のはなしに入っていきます。

『今でしたらまだ、手術ができる状態なので、手術をしましょう。』

という問いかけとともに、ホワイトボードに絵を書きながら、手術方法を説明してくれました。そして、ひとしきり説明が済むと、

『2週間後の〇月○○日でしたら、私が直接執刀しますけど、どうしますか?』

と結論を求められます。そして、答えました。『お願いします』と。

まだお金のことは考えられないけど、支払いは確定

本来、その手術を受けるとしても、他の治療方法と比較したり、セカンドオピニオンをとって、納得して結論を出すことが望ましいのかもしれませんでしたが、やはり事前に何の予備知識もないと、一般的には先生の言われるままに進んでいくのだと思います(※1)。

先生が提案する治療は、標準治療と言って、最も科学的根拠に基づいている治療方法です。別にそれを蹴ることはありません。ただし、納得してスッキリ治療を受けるために、いったん立ち止まって冷静に判断することは、大切なのだと思います。このがん治療までの流れをあらかじめ知っておけば、『少しだけ家族で相談する時間をください』と言えたのかもしれません。

(※1) セカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|がん治療におけるセカンドオピニオン。取り方を間違えれば、目的が果たされない可能性があるはなし」を、是非ご覧ください

大きな一時金が口座に

どちらにしても、がんが確定してしまった。そうなると、治るのかどうかということが最大の焦点ですが、それと同時にお金の心配も出てきます。その時に、がん保険の加入があれば、思い出して、その内容を確認することになります。

がん保険の保障は様々あるのですが、ザックリ以下の2つに分類することができます(※2)。

① がんの治療を受けたことに対して払われる保障
② がんの診断に対して払われる保障

もし②のタイプのがん保険に入っていれば、この時点で受け取れることが確定しています。主に、『がん診断給付金』などという名称の保障が、それにあたります。これに加入していれば、お金の安心が早く届くというメリットがあります。ひとまずお金は気にせず、治療に専念しようというふうに思えるかもしれません。

①のタイプであれば、治療が終了しないと受け取れるかどうか、そして金額も確定しない場合があります。

(※2) 2つに分類されるがん保険については、過去の記事「がんの備え|取扱い注意!がん保険には、2種類ある。その選択次第で、がんになった時の備えが変わってくるというはなし」を、是非ご覧ください

実際の影像が浮かぶ説明を

私も当時の反省から、がんのことを学ぶようになりました。現在であれば、自分がもし精密検査受診ということになったら、ある程度覚悟を決めて、あらためて最新の治療法や医療機関の情報などを集めると思います。また、家族や自分のお客様がそういったケースになった時に、前よりも適切なサポートができると思っています。

そして、がんの保険に関して言うと、やはり診断時で受取りが確定することは、大切なことだと実感しましたので、そこは必ず相談時にお客様へ、お伝えしています。是非みなさまも、こういった『がん治療までの流れ』などもふまえて保険を考えてはいかがでしょうか。

是非、がん保険の相談の機会に、あなたの保険の担当者から、がん保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなど、実際がんになってしまった時の影像が浮かぶ情報を得ながら、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※3)(※4)。

がんと聞いて、がん保険商品の選択肢しか出せない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします(※5)。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。

(※3) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

(※4) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

(※5) 生命(がん)保険相談のセカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険選びにもセカンドオピニオン』一番大切なことは、オトクながん保険選びではない、というはなし」を、是非ご覧ください

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