#26 補完代替療法への期待|がん保険のトリセツ|第2章 がんと治療のはなし

がん治療について情報を収集していると、どこかのタイミングで『補完代替療法』という言葉にたどり着きます。また、補完代替療法ではなく、『民間療法』という言葉で表されるものもあります。

この補完代替療法、がん患者さんの約半分が関わっているとも言われています。ですが、その向き合い方には注意が必要です。今回一緒に確認していきたいと思います。

補完代替療法とは?

補完代替療法とは、通常、がん治療の目的で行われている医療(手術や薬物療法〔抗がん剤治療〕、放射線治療など)を補ったり、その代わりに行う医療のことを指します。

これは『補完代替療法に興味を持ったときには(編著:国立がん研究センターがん対策情報センター)』からの引用ですが、実は明確な定義は無いようです。必ずしも医師が行う医療行為だけとは限らないので、その選択に注意が必要な場合もあります。

代表的なサプリメント

サプリメントや健康食品がまず思い浮かぶという方も多いかもしれません。その他にも鍼灸(はり・きゅう)、マッサージ療法、運動療法、心理療法と心身療法なども含まれます。

一部を除いて、医師が行う医療行為ではないため、民間療法などとも言われています。明確に線引きがされていないので、ネットで検索すると大量の検索結果が出てきます。

精神的な希望

私が過去にがん患者の家族として過ごした時も、患者である母は、一時期お灸へ通っていた時期があります。また、食事の食材もいろいろ選んだりしていました。

がん患者さんがこれらを利用する理由として多いのが、精神的な希望とも言われています。もしかしたら効果があって、がんが消えるかも…。そういった希望自体は大切なことだとも思います。

がんを治すものはない

これらの補完代替療法のうち、がんの進行を抑えるという効果が科学的に確かめられたものはありません。ただ、患者さんによっては体が楽になるなど役立つと感じる人もいます。

これは、国立がん研究センターによる補完代替療法への見解です。実際に高い治療効果が証明されるならば、標準治療に組み込まれます。ですから、もし何らかを取り入れる場合にも、よく確認をして行うことが大切だと言われています。

治療の妨害も

補完代替療法の中では、行っているがんの標準治療へ悪影響を及ぼすものもあるようです。例えば、とっている健康食品が、服用しているがん治療薬の効果を、強めたり弱めたりすることもあるそうです。

また、体に悪いことはなさそうな印象の鍼灸(はり・きゅう)も、がん治療の副作用で、白血球や血小板が減っていると感染や内出血のリスクが高まる恐れがあるとも言われています。

トラブルも起きている

がんの補完代替療法においては、

・○○を食べたらがんが消えた!
・○○で末期がんが消えた!

といった広告で、がん患者さんを集客し、法外な金額のお金をとって、トラブルになっているものもあります。

がん患者さんの心理としても、高いお金を払えば、その分効果も高いだろうという気持ちになってしまうこともあります。どうしても不安から視野が狭くなってしまう可能性があるので、その点は注意が必要だと思います。

必ず主治医と相談を

もしどうしても取り入れたい補完代替療法があった場合、検討してみること自体は悪いことではないと思います。

ただし、さきほどのがん治療への悪影響なども考えられるので、必ず主治医の先生と相談をしてから決めることが大切だと思います。また、その相談の際にも注意点があります。

お墨付きを期待しない

これまで何度も触れてきましたが、主治医が推奨するものは、診療ガイドラインに記載されている標準治療です。補完代替療法を勧めることは、基本的に無い立場だと理解して話すことが大切だと思います。

ですから、あなたが検討したい補完代替療法に何か大きな問題があるかどうか、客観的な意見をもらうスタイルがよいのではないでしょうか。

がん難民のリスク

あなた自身が、その補完代替療法に強い思い入れを持ってしまい、主治医の先生がそれを認めてくれないことを否定的に捉えることで、感情的な対立をしてしまう恐れがあります。

それを原因に主治医や病院との関係が切れてしまい、補完代替療法に走ったものの、がんが悪化してどうしていいかわからない、いわゆるがん難民と位置付けられるがん患者さんがいるとも言われています。

大切なこと

補完代替療法については、規制などもそれほどされていないため、想像以上に大量の選択肢にあふれています。

がんや医療の専門家でもないあなたが、その情報を精査して自力で適切な判断をすることは、かなり困難な可能性があります。

必ず誰かが勧めてくる

万が一あなたががんの診断を受けてしまった時、あなたは補完代替療法とは距離を置いていても、家族、親戚、友人などが、何かしら勧めてくることがあります。残念ですが、その方たちががんのことを学んでいなければ、防ぎようがありません。

ですが、がん患者さんにとって、それはものすごく大きなストレスとなる可能性があります。がんになる前には想像できないような悩みがある、そういったことを知っておくことも大切なのかもしれません。

適切な情報源を知る

今の時代、簡単にネットを通じて情報を収集できます。ただし、がん治療に関しては、検索して上位に来たからいい情報という捉え方は非常に危険です。

国立がん研究センターなど、公的な機関が推奨する、正しい情報を得られる場所をなるべく早く知っておくことが大切だと思います。

最後に…

がんは想像以上に、メンタル的なダメージをもたらす病気であると、私は考えています。メンタル的なダメージがあると、情報を適切に精査できなくなる可能性があります。

ですからがんの備えとは、自分がどういった選択をするかという重要な場面で、冷静に対応できるための準備も含めて、初めて成り立つのだと思います。そしてそれはがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。

是非、あなたのがん保険の担当者が、治療選択の場においても、サポーターであることを願っています。

次回は『#27 がんになった時の4つの選択肢』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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