がん保険の選び方|『がん保険の加入率』調べてみると、ある数字と似た数値であるというはなし

あなたはがん保険に加入していますか?まわりの他の人はどうでしょう?令和元年度の調査によると、がん保険の加入率は、以下のとおりでした。

がん保険加入率:42.6%(男性:43.2%、女性:42.2%)

出典:公益財団法人生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査《速報版》」

ちなみに、年代別に見ると、40代が、50.8%と、最も高くなっています。この約40%という数字なのですが、実は日本における、がん検診受診率と似た数値なのです。今回は、このがん検診受診率の数値と、がんの備えについて、考えていきたいと思います。

がん検診の受診率も4割程度

日本のがん検診受診率ですが、以下の表のとおりとなります。

胃がん  肺がん  大腸がん  乳がん  子宮頸がん
男性48.0%53.4%47.8%
女性37.1%45.6%40.9%47.4%43.7%
出典:厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査」 をもとに、著者が作成

胃がん、肺がん、大腸がんについては、過去1年あたりに受けたかどうかの数値、乳がん、子宮頸がんは、2年に1度の受診が推奨されているので、過去2年あたりに受けたかどうかの数値となっています。

OECDで最低レベル

日本人のがんはずっと増加傾向なのですが、がん検診受診率は、OECD(経済協力開発機構)加盟国30ヵ国の中で最低レベル。欧米など諸外国の子宮頸がん、乳がんの検診受診率は50~85%であるのに対し、日本では、まずは50%の検診受診率を目指して働き掛けているものの、いまだ40~50%程度と、まだまだ低い水準です。

70%はがんが怖い

内閣府が、平成28年11月に行った、がん対策に関する世論調査では、約70%の人が、がんは怖いという印象を抱いています。ところが、それに対し、がん検診の受診率やがん保険加入率が40%程度という水準にとどまっています。このギャップが、日本でがんが増え続けていることの象徴であると私は感じます。

国はの姿勢は、早期発見・早期治療

日本では、昭和56年以降、日本人の死因の1位は、ずっとがんのままです。がん対策基本法という法律まで整備し、予算(税金)を投入して、がん対策を行ってきています。がんは今、早期で発見できれば、治る病気とも言われています。ここ最近でも、芸能人の方ががんの治療を行い、元気に復帰している姿も、よく目にします。

そのために検診受診率向上

早期発見するためには、諸外国のように、がん検診の受診率を70%、80%と、高い水準に持っていきたいと、国は考えているのだと思います。ただし、現実には50%にも満たない受診率。 先ほどのがん対策に関する世論調査の中で、がん検診を受けない理由の調査もあったのですが(※1)、その回答の上位5番目のものに、

がんであると分かるのが怖いから:11.7%

という回答があります。怖いから目を背ける、そういった心理の方も一定数いらっしゃるようです。

※1 がん検診を受けない理由については、過去の記事「がんの備え|『がんであると分かるのが怖いから』がん検診を受けない。これもひとつの本音、というはなし」を、是非ご覧ください

がん教育の必要性

国は、がんが減らないこと、そして低いがん検診受診率といったことの原因として、私たちががんのことを知らないからだ、というように考えています。確かに日本では、がんを始めとした、医療についての教育を受ける機会がありません。ですから、多くの国民が適切な行動をとらないのだと国は考えています。

そういった課題に対し、数年前から学校でのがん教育が始まっています。社会に出る前に日本人にとって、がんが身近で怖い病気であること、予防や早期発見のためにどのような行動をとることが大切なのかということを、知ってもらうという意味で、意義があると思います。

がん検診受診率とがん保険加入率は、リンクする必要はない

がん検診受診率とがん保険加入率が、同じくらいの数値だということを冒頭でお伝えしましたが、これについては多少関連があるのかもしれませんが、そこまで深く考える必要はないと思います。また、国はがん検診受診率を、70%、80%とあげたいと考えていると思うのですが、がん保険の加入率は、それに合わせていく必要はないと思っています。

がん保険に関しては、保険による備えが必要な人が入れば良いはなしなので、個人個人、もしくは家族単位で、その必要性を考えて判断することが大切です。

がん保険が必要な人とは

保険で備えることが必要かどうかを判断するために必要な材料は、一言で言うと、

今がんの診断を受けて、仮に治療が長期化した時に、今までどおりの生活を維持できるかどうか

だと、私は考えています。がんでも、単発の手術だけであれば、健康保険証の『高額療養費』を申請すれば、それほど医療費負担が高額になることはないですし、仕事へ復帰することもそれほど難しくない可能性があります(※2)。

ただし、再発・転移などで、治療が長期化すると、肉体的にも仕事の継続が困難になる可能性があります。そういったがんになってしまった場合の、あらゆるシナリオをふまえて考える必要があると思っています(※3)。

※2 『高額療養費』については、過去の記事「がんの備え|『高額療養費』がんに限らず、覚えておいて損はないというはなし」を、是非ご覧ください

※3 治療の長期化による経済的影響については、過去の記事「がんの備え|意外と忘れられがちな、がんになってしまった時にも発生する普通のお金」を、是非ご覧ください

比較的若い時の方が…

ようは、がんになって仕事の継続ができなくなり、収入が下がったり、無くなったりしても、生活できるだけの、貯蓄(資産)または、別の収入減があれば、耐えられる可能性が高いです。ただし、一般的には、それらを作るためには、それなりの時間と労力が必要です。

ですから、個人的な見解で言うと、まだ貯蓄がそこまでできていない、20代、30代のうちの方が、保険の必要性は高いと考えています。そして、資産や新たな収入源ができたら、保険の役割が終わる(解約をする)という流れが、理想であると思います。

正しく恐れるための情報を

多くの人が調査で回答しているとおり、私もがんは怖い病気だと思っています。それは、私自身もがん患者の家族という体験をしての実感でもあります(※4)。では、怖いならば備える必要があると思うのですが、がんへの備え=がん保険加入と考える方がいらっしゃいます(※5)。これは非常に怖いことです。

がん保険は、お金の備えでしかありません。がんに備えることの第一歩は、情報(知識)を持つことです。正しい情報があるから、どういった備えが必要かがわかります。お金さえいっぱいあれば、いい治療を受けられて、がんが治ると考えていると、本当にがんになってしまった時に、かなり振り回されることになり兼ねません。

※4 私のがん患者としての実体験については、過去の記事「がんの備え|『がん患者の家族』を経験して初めて分かった、がんに関しての情報の出どころを学んでおくことの大切さ」を、是非ご覧ください

がんのステージと選択肢

その一環ということなのですが、がんにはステージ(1~4まで)というものがあります。どの程度がんが進行しているかということを示すものなのですが、低いほどまだ進行していない(早期)というものです。

がんは、早期であれば、治療の選択肢がたくさんあります。一方、見つかった時に、すでに転移などがあるような状態の場合、その選択肢はかなり狭まってきます。こういったことをあらかじめ知っているかどうかも、実は行動に変化を与える可能性があります。

もしあなたが、がんになってしまった時に、治る可能性の高い早期で発見されるか?それともすでに治療が難しくなってしまっている段階の、末期で見つかるか?一般的には、早期でと考えるのではないでしょうか。それであれば、こまめにがん検診を受けることも、大切ながんの備えであると思うのです。

がん保険検討時に情報も

先ほど学校でのがん教育が始まっていることをお伝えしました。それはそれで素晴らしいことなのかもしれませんが、すでに社会人になってしまっている私たちには、その機会がありません。では、どうやって必要な情報を取れば良いのか。ひとつ機会があるとすれば、生命保険やがん保険などを検討する機会です。

保険のはなしになると、がんを始めとした病気の話題も出てきます。是非その機会に、あなたの保険の担当者から、がん保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなどについても、情報を得て正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※5)(※6)。保険商品のはなししかできない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとることをおススメいたします。

※5 がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

※6 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

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