がん保険の選び方|『終身保障のがん保険』同じ終身保障でも、保険料払込期間に2つの選択肢がある、というはなし

がん保険がいつまで保障してくれるかという、保険期間には、期間限定の『定期保障』と、生きている限りの『終身保障』がありました(※1)。そのうち、終身保障を選んだあとに、次にもう一つの選択肢が出てきます。それが、毎月保険会社へ支払うお金(保険料と言います)を、いつまで支払うか、『保険料払込期間』というものです。

この保険料払込期間にも、定期と終身があります。保障は終身保障なのに、払い込みは定期?と思うかもしれません。

そこで今回は、終身保障のがん保険における、2つの保険料払込期間、そのメリット・デメリットについて、考えていきたいと思います。

まさに今、『終身保障のがん保険の選択』をしようとしているあなたへ、お届けしたいはなしです。

(※1) 定期保障と終身保障については、過去の記事「がんの備え|『終身保障か?定期保障か?』がん保険を選ぶ際の、ひとつのポイント、保険期間についてのはなし」を、是非ご覧ください

終身保障のがん保険を選ぶと、払込期間の選択も出てくる

一般的に終身保障のがん保険を選んだ場合、『保険料の払込期間』について、決める必要があります。終身保障とは、生きている限り契約(保障)が続くということです。それと同じように、生きている限り、毎月毎月払っていく、『終身払い』と、保障は一生涯でも、早めに払い込みを終える形の、『短期払い』が一般的です。

この払込期間ですが、一般的には途中で変更できませんので、よくよく比較して選ぶ必要があります。

保険期間と同じ終身払い

保険契約を続けている間、同じように払っていく終身払いは、短期払いと比較すると、月々の保険料は安くなります。コストを抑えるためにも使えますし、もしくは、短期払いと同じ保険料負担にして、保障を手厚くすることも可能です。

利用する限り毎月払っていく、賃貸マンションに住んでいるような感じでしょうか。

先に払ってしまう短期払い

こちらの短期払いは、保障は生きている限りですが、保険料の支払いに関しては、60歳までとか65歳までといった形で、どこかで終わりを迎える形です。早めに終える分、同じ保障内容であれば、終身払いより月々の保険料負担は大きくなります。老後に入る前に保険料負担を無くし、その後はタダで、保障を生きている限り受けられるというものです。

住宅ローンを65歳で終えて、その後は家賃が掛からない、そんなイメージです。

総支払保険料の観点からの違い

どちらがよいのか?それは、人それぞれではありますが、比較のポイントがありますので、見ていきたいと思います。まずは、コストという観点で見ていきます。

がん保険を始めとして、保険は多くの方にとって、家計負担のひとつです。ですから、総支払保険料の観点から比較してみます。

人生100年時代を生きたら

人生100年時代ということで、本当に100歳まで生きて、がん保険も継続した場合ですが、20代30代の若い方であれば、一般的に『短期払い』の方が、総支払保険料は小さくなります。また、同じ短期払いでも、65歳より60歳といういうように、払う期間が短ければ短いほど、総支払額は小さくなることが、一般的です。

ちなみにある保険会社で、がん保険のシミュレーションをしたところ、30歳の男性で、終身払いと60歳払いを比較したところ、70代半ばで終身払いの方が、総支払保険料が高くなりました。

人生100年とは限らない

もともとは、人生100年、そのがん保険を長く継続しようと思って短期払いを選んだものの、人間ですから何があるかわかりません。そもそもがんのリスクに備えてがん保険に加入しました。

40代50代のまだまだ現役バリバリの時期に、がんを患い、治療の甲斐なく、お亡くなりになるケースもあります。亡くなるケースに限りませんが、途中でこの契約が終了する場合には、当然終身払いの方が総支払額は小さくなります。

終身保障なのに、途中で解約することはあるのか?

今のお亡くなりになるケースはどうしようもありませんが、それ以外にもがん保険を解約するケースがあります。理由はそれぞれではありますが、ここでは起こり得る、2つのケースについて見てみます。

経済的な問題

まず、家計の収入状況が、何らかの理由で悪化したケースが考えられます。家計出費が厳しくなってきた時、多くの方が見直しをかけるのが、がん保険を含めた生命保険です。無駄な保険契約を解約し、家計負担を楽にしようとします。

たまに見受けられるのが、老後に保険料負担があるのが嫌だという理由で、がん保険に限らず、すべての保険契約で短期払いにして、月々が高額になるケースがあります。もちろん気持ちはわかりますが、持続可能性についてもよく検討する必要があります。やめてしまったら、本来のがんに備えるという目的が果たされません。

見直しの可能性

家計状況に問題がなくても、がん保険を解約することは十分あり得ます。それはどういったケースか?がん治療の実態が変化し、入っているがん保険の内容が、陳腐化してしまったケースです。時代が大きく変わり、あまり役に立たなくなってしまったがん保険を持っていても、がんの備えにはなりません。

個人的には、がん治療の実態とがん保険の保障内容をずっと見てきましたが、この見直し可能性は、今後も高いと思います。正直なところ、今加入したがん保険も、30年後に役に立つかというと、正直分からないというのが私の印象です。

過去がん保険は変化をしてきている

過去の実績からすると、がん保険はかなり大きな変化をしてきています。今、30年以上前のがん保険を持っていても、十分な保障は得られない可能性があります(※2)。終身保障は、一生涯の安心というイメージもありますから、加入時には安心感があります。

ただし、がん保険を始めとする生命保険は、一般的に変化に対応できないと言われています。一度した契約の内容は、途中で変わらないので、変化があれば、自分で動かなければなりません。

(※2) 30年前のがん保険については、過去の記事「がんの備え|『がんは若い時に、会社で終身保障のがん保険に入っているから安心なんだ!』とおっしゃったお客様との出会い」を、是非ご覧ください

貯蓄重視と考えると

特に若い世代の方へお伝えしたいことは、がん保険は一生持つものではないということです。もちろん持ってもいいのですが、まだまだ引退までに時間がたくさんありますから、老後にがん保険が必要無いような状態を目指すことの方が、がん以外にも備えることができ、より安心です。要は、貯蓄を作っておくということです。

老後になれば、もちろんがんも怖いですが、その他の病気で介護などのリスクも高くなります。老後においては、何にでも使える貯蓄の存在が大切です。そう考えると、終身保障のがん保険に加入するとしても、見直しや月々のコストを重視した、終身払いという選択の方が、私は良いと思いっています。最終的にどちらを選んでもいいと思うのですが、是非将来もふまえて、納得して選択していただきたいと思います。

がん情報の備えも

また、適時適切な情報を得て、必要な見直しをかけて行くには、情報を得る体制が必要です。がんは、実際になってしまった時、お金よりも先に情報が必要な病気です。ただ、なかなか自分で情報を確保することが難しいという現実もあります。ですからあなたの保険の担当者と話す機会を大切にしていただきたいと思います。

がん保険を検討する機会には、あなたの保険の担当者から、がん保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなどについても情報を得て、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※3)(※4)。

保険商品のはなししかできない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。

(※3) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

(※4) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

Follow me!