#19 がんの3大治療|がん保険のトリセツ|第2章 がんと治療のはなし

前回はがんの標準治療とは何か、またその位置づけなどについて触れてまいりました。今回はその標準治療について、具体的にどのような治療法が存在し、その特徴がどのようなものかお伝えしてまいります。

標準治療にも複数の選択肢があり、その選択により、治療後の影響が分かれる場合もあります。がんは最初の判断が大切とも言われます。納得して選ぶために必要な情報を一緒に見ていきたいと思います。

標準治療を構成する治療

標準治療は最善治療という位置づけでしたが、具体的にどの治療法が該当するのか、当然指定がされています。3大治療といった呼ばれ方をする、3種類の治療法が存在します。

そして、がんの種類やステージ、そして患者さんの健康状態などにより、選択された治療法が主治医より提案されます。

がんの代表的な3つの治療法

がんの3大治療は

①手術
②放射線治療
③抗がん剤治療

の3つです。これはがん保険のパンフレットで目にしたかもしれません。

それぞれに特徴がありますが、その大きなところはあらかじめ知っておいた方が良いかもしれません。

複数の選択肢がある場合も

がんの種類やステージによっては、例えば、手術と放射線治療の治療成績が同等で、医師によっても意見が分かれるケースもあるそうです。主治医の提案をそのまま受け入れたら、別の選択肢を知らずに治療に入ってしまうことが考えられます。

もし事前に別の選択肢の可能性があることを知っていれば、それぞれの治療による体のダメージや副作用など、デメリットを比較して、生活や仕事への影響を考慮した選択ができるかもしれません。

手術について

手術はそこにあるがんを物理的に取り除く治療方法で、局所治療と言われたりします。がんが早期であれば、手術が第一の選択肢となることが一般的のようです。

逆にがんが全身に転移してしまっている状態では、手術ですべてを取り除くことは困難となり、選択肢としてあがらないということがあるようです。

切除の仕方にも変化が…

がんはずっとその場にとどまらず、周辺や別の部位に転移すると言われています。そのため、手術をする場合、がんがある場所だけでなく、その周辺まで大きく切除することが通常であったようです。

ただ、過去からいろいろなデータが積みあがってきて、現在はがんの種類によっては、切除する範囲が以前と比べて小さく済むものもあるようです。

手術の中でも種類がある

手術の中にも選択肢が増えてきています。医師がメスを使用して行う従来のものに加え、内視鏡を使って切除するもの、ロボットを使って遠隔から操作するロボット支援手術などが存在します。

従来の手術に比べ、体への負担が少ない手術が出てきています。ただ、例えばロボット支援手術ですが、すべての病院でできるわけではありません。事前にそういった情報があることを知っておく必要があります。

放射線治療について

こちらは、体の外から放射線を当てることでがんを破壊する治療方法です。手術と同じくそこにあるがんを叩くという意味で、局所治療と言われます。

ただ手術と違う点として、手術は一般的に入院して行いますが、放射線治療は最近通院で済むようにもなってきています。生活や仕事への影響が変わるかもしれません。

ダメージが少ないというメリット

体にメスを入れて行う手術に比べて、放射線治療の方が体へのダメージが少ないと言われています。ただ、放射線が効きやすいがんと効きにくいがんがあるようです。

また、ダメージが少ないと言っても、全く無いわけではなく、だるさや食欲不振、放射線を当てた部分の皮膚のただれなどがあるようなので、医師によく相談することが大切かもしれません。

放射線も選択肢が増えている

従来からの放射線治療は、体の外側から放射線を照射し、その威力を一番大きく受けるのはがんではなく、最初に体に当たる部分、つまり皮膚と言われていました。ですから今よりも副作用が強く出ていたようです。

ただその副作用を軽減する研究が進み、現在では、なるべくがんだけをピンポイントで照射する技術を持った放射線機器が様々誕生し、使用されているようです。手術と同様、放射線とひとくくりにしない方がよいかもしれません。

抗がん剤治療について

こちらは体全体に薬を巡らせてがんをやっつける全身治療と言われています。がんの転移がある、もしくは転移の疑いがある時に選択されるようです。

放射線治療と同じく、抗がん剤治療も現在通院での治療が多くなってきており、仕事を続けながら定期的に受診をしているがん患者さんもたくさんいらっしゃいます。

最大のデメリットは副作用

抗がん剤治療の場合は、ほぼ必ず副作用は出てしまうようです。代表的なものとして、吐き気、脱毛、白血球減少があげられます。

しかしそれらの副作用を抑えるための薬も開発されており、近年これらの副作用管理(支持療法)はとても進歩しているようです。

腫瘍内科医の存在

先進諸国の中で、日本は抗がん剤治療の専門医(腫瘍内科医)が一番少ないと言われています。それにより、副作用管理が必ずしも適切に行われていないこともあるようです。

かかった病院で腫瘍内科医が存在しないケースもあるようですし、存在していても知らなければ、そこにアプローチすることもできません。抗がん剤は長期戦になることもありますし、選択肢の存在は重要なのではないでしょうか。

最善の治療と言われる『標準治療』の中でも、選択肢が複数存在する場合がある。もしあなたがそのことを知らずに治療を受けて、あとで別の選択肢の存在を知ったとしたら…。是非想像してみていただきたいと思います。

あとで後悔することが無いようにするために必要なこと。それは事前に情報の備えをすることだと思います。すべての治療を知る必要は無いと思います。ただ、いざという時『他にも選択肢があるかもしれない』と思えることが大切だと思います。

ですからがんの備えとは、この治療選択の瞬間に、適切な対応ができるための準備も含まれるのだと思います。そしてそれはがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。

是非、あなたのがん保険の担当者が、がんの治療選択に関するサポーターであることを願っています。

次回は『#20 先進医療は夢の治療?』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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