がん保険の選び方|『がん保険の相談したい、と確かに言ったけど…』お店で相談したけど、スッキリしなかった…、というはなし

【がん保険だけでなく担当者を選ぶという視点が必要な理由】

要約

多くの方が加入するがん保険。来店型保険ショップなどでがん保険の相談をした時に『なんかスッキリしなかった...』という経験ありませんか。残念ながらショップのスタッフのスキルには当然バラつきがあり、あたる担当者によって、あなたが本当に聞きたかった、がん保険の必要性や商品性とコストのバランスなどについての疑問が解決できずに相談が終わってしまうことがあります。それらの具体例と本来あるべき姿、対応策などについて、一緒に見ていきたいと思います。

何か気になる商品やサービスについてお店で相談した後に、『なんか違うな…』とか『聞きたかったのはそういうことではないんだよな…』などと感じて

せっかく相談したのに無駄だった…

といった経験をしたことはありますか。残念ですが、どこの業界でもスタッフの方のスキルにはバラツキがあり、こういったことはあるのだと思います。

私が過去に仕事をしていた来店型保険ショップにおいても同じことは言えると思います。例えば『がん保険の相談をしたい』といらっしゃったお客様。2時間の保険相談会の後、結局聞きたいことがきけなかった…と店を後にするお客様はたくさんいらっしゃると、私は思っています。

そこで今回は、せっかくプロにがん保険の相談に行ったのに、なぜスッキリしなかったということがあるのか、またそのような時には、どうすれば良いのかということについて、一緒に見ていきたいと思います。

まさに今、『保険ショップでがん保険の相談をするか検討』しているあなたへ、お届けしたいはなしです。


『がん保険の相談をしたい』とはどういうことか?

あなたならどう思いますか。あなたが『がん保険の相談をしたい』時とは、どのような時でしょうか。もしくは、あなたが『がん保険の相談をしたい』と言う時の、真意はどういうものでしょうか。

私は、過去に10,000回以上の保険相談会に携わってまいりましたが、冒頭に『がん保険の相談をしたい』とおっしゃる相談をたくさん受けてきて、その真意について一定の傾向を感じました。

もっとも強いのは必要性

まず『がん保険の相談とは、がん保険選びではない』ということです。家族、知り合い、著名人ががんになってしまった、またはがん家系だ、といったきっかけで、ある時にがんが、自分のこととして気になる(怖いと思う)ことがあります(※1)。

ただこの段階で思うことは、『がん保険に入った方が良いのか』『周りの人はどうなのか』といったことで、決してがん保険に入ることを前提にしているわけではありません。一般的に『がんはお金が掛かる』とか『がんは不治の病だ』などというイメージもあったりしますので、自分が判断するための情報を欲している段階です。

がんなってしまった人が、

・どのような治療を受け、その後どうなるのか(治るのか)
・いくらくらいお金が掛かるのか
・生活がどうなるのか

など、具体的な映像が浮かぶ情報を得て、それに対してどうすべきか(がん保険で備えるべきか)ということを相談したいのだと思います。

※1 がんとがん家系については、過去の記事「がんの備え|『うちがん家系なので、がん保険に入りたい』保険加入は別にしても、この人はきっかけがあるからいい、というはなし」を、是非ご覧ください

次に商品性とコスト

そのうえで、まだ潤沢な貯蓄がなく、万が一今がんになってしまった場合には、自分または家族が経済的に困ってしまう、そのリスクがはっきりして、初めてがん保険加入を具体的に考え始めるのだと思います。

その時には、お客様サイドにはがん保険の商品知識がないことが多いので、基本的ながん保険の仕組みや、商品ごとの違い、おススメの商品、そして月々のコスト(保険料と言います)などを知りたいと感じるのだと思います。


スッキリできるかどうかは出だしでわかる

今まで触れてきたことは、聞いてみると大したはなしではないと感じませんでしょうか。実はそのとおりなのです。ではそんな簡単なことなのに、できていないということも現実です。

なぜ相談したのにスッキリしないで帰ってくる人が出てしまうのか。

これも実は簡単です。相談開始直後(遅くとも15分以内)で、ちゃんと相談できる人かどうか見分けがつきます。以下で簡単な会話例をもって、お示しします。

スッキリしない例

お客様 :がん保険の相談をしたいのですが…
スタッフ:がん保険ですね。何か気になっている商品はございますか?
お客様 :いえ、まだ何も調べていなくて…
スタッフ:かしこまりました。では、今みなさんに人気のがん保険のパンフレットをお持ちしますね
お客様 :え、ええ…

いかがでしょうか。このスタッフは、お客様が『良いがん保険を選びたいと思っている』と決めつけています。そして、おそらくこの後パンフを開いて、一生懸命自分の持っている知識をひけらかそうと、プレゼンします。

想像いただけると思いますが、このお客様は個別のがん保険商品の説明は求めていないですよね。ただ現実には、こういったレベルのスタッフはたくさんいると、私は思っています。

期待できそうだと思える例

お客様がこの人には相談できそうだ、と期待できる会話はどのようなものでしょうか。一例をあげたいと思いますので、是非イメージしながらお読みください。

お客様 :がん保険の相談をしたいのですが…
スタッフ:がん保険のご相談ですね。なぜがん保険が気になられたのでしょうか。
お客様 :実は、職場の同僚が乳がんになってしまい、私も年齢が近いから怖くなってしまって…
スタッフ:そうなんですね。職場の同僚の方が乳がんになってしまい、年齢が近いため○○様も怖いとお感じになられたのですね。
お客様 :そうなんです。
スタッフ:では、がんになってしまった時、どのようなことが一番ご心配ですか。
お客様 :それががんのことを詳しく知らないので…がんはお金が掛かるとか、がん保険は入っておいた方がいいとか、聞いたりはするのですが…
スタッフ:そうなんですね。では、いきなりがん保険と言うより、まずはがんになってしまった時にどのようなシナリオが考えられるのか、それからお金がどのくらいかかる可能性があるのか、そういったところからお話ししていった方がよろしいですか。
お客様 :是非、それでお願いします!

これはかなり抜粋した会話例ですが、先ほどの例と比べて、お客様の心境はいかがでしょうか。


出だしでわからなかった場合のチェック

スタッフの人にも様々な性格の人がいますので、例えば話が面白いとか、愛嬌があるなど、相談の内容とは関係なく、お客様がスタッフに好印象を感じる場合もあります。その場合、出だしすぐにそのスタッフが本当に相談できる人かどうか判断しづらい場合もあります。

その際にも本当に自分の悩みを解決してくれる人がどうか、どこかでチェックする必要はあります。人柄が良いというのは、前提条件としてはあってほしいですが、悩みの解決とは別問題です。むしろ人柄が良いにもかかわらず、がんの備えに関する能力、知識が足りないということの方が、怖いことでもあります。

是非、最初の30分くらいをどのように過ごしたか、チェックしていただくと良いかと思います。

前半どちらが話しているか?

シンプルに最初の30分、自分とスタッフ、どちらがしゃべっている時間が長いかという、比率をチェックしてください。さきほどの例のように、冒頭で決めつけをされて、30分の大半をパンフレットの説明をされた。または、ただのおしゃべり好きで、打ち解けるためなのか、全然関係ない雑談ばっかりしている。

あなたがしゃべっているより、聞いている時間の方が長い場合、おそらくスッキリ問題解決に向かう展開は考えづらいと思います。初めての人に何か相談する時は、この比率を少し意識しておくと良いかと思います。

本当のプロは『聴く』が先

そもそもスタッフの立場からすると、相手(お客様)の悩みや問題点を解決することが仕事です。相手が抱えている悩みを解決するためには、相手の悩みの内容を正確に理解しなければ、そもそも何もやりようがありません。

本当に適切なアドバイスができる人は、前半戦は徹底的に聴きに徹します。『聞き』ではなく『聴き』です。お客様の口から出た言葉だけでなく、しぐさや表情などからも、何か聴き漏らしがないかどうか、最初は聴くことに時間を割きます。

お客様からすれば、自分のはなしを間違いなく聴こうとしてくれることに、安心感を感じるのだと思います。それがこの人ならば相談できるという期待へつながるのだと思います。


がんを知ることから

『がんが気になったらがん保険』というイメージがあるかもしれません。または、親から『医療保険、がん保険くらい入っておきなさい』などとアドバイスされることもあるかもしれません。

私はきっかけは何でも良いと思っています。何でも良いのできっかけがあれば、がんのことを知る機会ができます。一番怖いことは、全くがんを気にする機会がないまま年を重ね、何も備えないままがんの診断を受けてしまうことです。

最も経済的に厳しいシナリオ

もしがん保険を考えるのであれば、がんになってしまった時にどのようなシナリオがあり得るのかということ、特に最も厳しいシナリオがどういったものかということをイメージしていただきたいと思います。

それをご自身ですることが難しければ、がんとがん保険のことを熟知したプロに相談する方が良いのではないでしょうか。もし相談をするのであれば、先ほど触れてきたことなどを参考にしていただき、相手が本当に相談できる人かどうかも見ていただきたいと思います。

相談時を大切に

どういった保険を選ぶかということは、もちろん大切なことです。ましてがんが心配で、医療保険、がん保険に入りたいという方であればなおさらです。ただ、がんが心配な方にこそお伝えしたいことは、お金の安心だけではがんとは戦えない可能性があるということです。がんへの備えで一番大切だと私が考えていることが

がんを知ること

です。実際のがん患者さんは、様々な負担を負ってがんと向き合っています。その中で、もちろんお金の負担も小さくない場合があります。ですからがん保険を考えることも大切です。ただ、がんになってしまった時に、お金も含めてどのような負担があるのかを知ることが、本当のがんの備えと言えるのだと私は考えています。

そういった意味で、医療保険、がん保険の相談をする機会を大切にしていただきたいと思います。保険ショップなどに相談に行けば、保険を選択するにあたって、様々なアドバイスをもらえる可能性があります。是非その機会を大切にしていただきたいと思います。

医療保険、がん保険の相談の機会に、あなたの保険の担当者から、がんに関する保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなど、実際がんになってしまった時の影像が浮かぶ情報を得ながら、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※2)(※3)。

がんと聞いて、がん保険商品の選択肢しか出せない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします(※4)。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。

(※2) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

(※3) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

(※4) 生命(がん)保険相談のセカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険選びにもセカンドオピニオン』一番大切なことは、オトクながん保険選びではない、というはなし」を、是非ご覧ください

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