#38 がん保険の役割|がん保険のトリセツ|第3章 がんとお金のはなし
前回、がんのお金は大きく3つというタイトルで、がんになってしまった時に発生しうるお金について見てきました。念のため確認ですが、
①標準治療を受けるためのお金
②先進医療などを受けるためのお金
③QOLの維持のためのお金
といったものでした。
がんのお金と言えば、がん保険という話しになってきます。今回は、がんのお金の中でがん保険に対してどのような期待ができるのか、いわゆるがん保険の役割というところを、一緒に確認していきたいと思います。
目次
がん保険はがん治療費保険
がん保険は、がんになってしまった際に、何らかのお金を受け取れる保険です。受け取ったお金の使い道は自由です。
ただ、これまでにも触れてきたとおり、がん保険はあくまでがん治療費への備えの保険ととらえておく必要があります。
標準治療への備え
がん保険にも様々な種類があるので一概には言えませんが、一般的ながん保険の基本保障は標準治療を受けたことに対してお金を受け取れるものになっていると思います。
標準治療を受け必要に応じて高額療養費の申請を行い、そのうえで発生する医療費自己負担額をまかなうということが基本の役割と言えそうです。
オプションで先進医療なども保障
標準治療への保障を基本としながら、万が一先進医療や自由診療などの選択をした場合にもお金を受け取れる保障も存在します。一般的にそれらはオプション(特約と言います)として、追加で保障するものが多いかと思います。
基本保障に自由診療などへ対応するオプションをセットして、がんの3つのお金のうち
①標準治療を受けるためのお金
②先進医療などを受けるためのお金
について備えをするのが、がん保険の役割と言えます。
生活費への保険はがんの保険
がん保険はがん治療費に対する備えの保険です。ただし、がんのお金にはQOL(クオリティオブライフ:生活の質)の維持のためのお金も存在しました。
がん保険を考える際には見落とされがちなのですが、この費用が必要になるケースが経済的に最もシビアな状態になります。そしてこの費用はがん保険でカバーすることは困難である、と私は考えています。
まとまったお金を確保
もしこの費用について、保険を使ってカバーしたいと考えた場合、がん保険ではなく『がんの保険』を使うことになります。ではがんの保険とはどういったものか?
詳しくは後述しますが、がんになってしまった時点でまとまったお金をもらえることが確定する保険です。初めてのがん診断の時点で、500万、1000万円などの一時金を受け取れる、そんな保険が存在します。
使ってはいけない
すでに見てきたとおり、早期のがんで一定期間入院し手術できれいにがんを取り除いた場合、高額療養費を申請することで、医療費の自己負担は10万円程度に抑えられます。
がんの診断時にまとまったお金を受け取りますが、そのお金はその後のQOLの維持のためのお金です。そのお金は必要になるまで温存していくことになります。そういったところにもアドバイスをくれる担当者がいることが望ましいと、私は考えます。
がん保険相談の役割
ここまでがん保険の役割やがんの保険でできることについて触れてきました。がん保険などを選ぶ際、ネットで保険に加入する人以外は保険の担当者に相談をして最終的に加入をしていると思います。
まだまだネット経由は少数派で、多くの方が保険の担当者経由で保険に加入しています。ということは多くの方が保険相談をしているわけですが、私はその保険相談自体に役割があると考えています。
がんを知ること
今回の第38話まで、このコラムではまだ具体的ながん保険に触れていません。その理由についてはすでに述べましたが、それだけ事前にがんを知っておくことが重要だと思っています。
最終的にがん保険を適切に選択することは大切ですが、それをするために先にがんを知らなければなりません。では「がんを知りましょう」となった時、あなたならどうしますか?
この時しかない
実は日本ではがんになる前にがんのことを知り、その備えについて考える場が無いという問題があります。中学、高校では数年前からがん教育が始まっています。
ところが中学生、高校生よりがんのリスクが高い社会人は、実は教育を受ける機会がありません。ではどこでがんの話しを聞くのか?実は、保険相談の場が貴重な場と言えるのです。
保険選びよりも担当者選び
他にがんの話しを聞く機会が無いのであれば、保険相談の場を大切にしていただきたいのですが、ひとつ注意点があります。保険の販売資格を持つ人の全てが、がんをよく知っているわけではないということです。
ですからいい保険選びは、いい保険担当者選びと言い換えることもできます。話しを聞いてみて、がんでつらい状況になる場面を具体的にイメージさせてくれるかどうか、是非慎重に見極めていただきたいと思います。
がんを知るレベルに大きな差
もしあなたの保険の担当者のがんに対する知識レベルが低かった場合、あなたへ伝わるがんに関する情報レベルも低くなります。
あなたはその担当者からがん保険に加入し、がんは安心と感じるかもしれません。でも本当にがんの告知を受けてしまい、がん保険だけではがんと戦えないということを、後で知ることになるかもしれません。
初期対応にも大きな差
事前にがんを正しく理解したかどうかで、がんになってしまった時の対応も大きく変わると思います。がんを知っていてもメンタル的なダメージは当然受けますが、それでも何も知らない人よりも選択肢が存在します。
がん相談支援センターでは、無料で何でも相談できること、主治医の治療提案でいいのか迷ったらセカンドオピニオンという選択肢があること、など納得して治療を受けるための選択肢の存在は大きいかと思います。
最後に
がんの備え=がん保険。まだまだ世の中ではそういった印象を持つ方が多いかと思います。その中で、がん保険は必要だ、不要だという論争がありますが、がん保険はそもそもがんの備えのほんの一部でしかありません。
ですからがんの備えとは、がんになってしまった時に、どのようなダメージがどのように発生するのか、それをイメージできて、初めてできるのだと思います。
そしてそれはランキング上位のがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。
是非、あなたのがん保険の担当者が、がんの備えを考えるうえで質の高い情報を提供してくれる、良きサポーターであることを願っています。
そして万が一、あなたの担当者ががんをあまり語れないのであれば、セカンドオピニオンをとってでも、事前にがんのことを良く知っていただきたいと思います。
次回から、第4章 がんと保険のはなし、に入ります。最初は『#39 がん保険は大きく2つ』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇◆◇補足◇◆◇
このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。
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