#40 あなたのがん保険はどのタイプ?|がん保険のトリセツ|第4章 がんと保険のはなし

あなたが加入する、また世の中に流通するがん保険全部を特徴別に分類すると、大きく4つのタイプに分けられ、それは以下のとおりです。

①がん入院を保障
②がんの標準治療を保障
③がんの標準治療+αを保障
④がん診断を保障

ちなみに『保障』とは、お金を受け取れる、ととらえてください。例えば①であれば

がんでの入院でお金を受け取れる

といった具合です。今回は、これら4つを大雑把に見比べていきたいと思います。

①がん入院を保障

がんの治療目的で入院したことに対して、お金を受け取れるがん保険があります。このタイプは、少し古いタイプのがん保険と言えますが、今でも存在します。

30年前であれば、がんで入院となれば、数か月単位、また入退院を繰り返すということも一般的でした。そういったケースで力を発揮するタイプのがん保険と言えます。

治療形態に対する保障

手術や抗がん剤治療といった、治療内容については問われません。このタイプのがん保険は、治療目的で入院することが、お金を受け取れることの条件となることが一般的です。

裏を返せば、通院での治療ではお金を受け取れません。ですから他にがんでの通院を保障するがん保険も存在します。

日数払いが基本

このタイプのがん保険では

入院1日当たり、〇千円受け取り

といった、日数に応じた受け取り金額となることが一般的です。

最近はがんの入院手術でも、2泊3日といったものもあります。短期入院にもかかわらず、お金がたくさん掛かるというケースでは、このタイプは力を発揮することができない可能性があります。

②がんの標準治療を保障

今まで見てきたとおり、主治医の先生は、診療ガイドラインに掲載された標準治療を患者さんに提案します。その標準治療を受けた時に、お金を受け取れるタイプがこちらです。

先ほどの入院、通院といった、治療の形態はではなく、具体的な治療方法に対して、一定の金額を受け取ることができます。

主治医の治療提案に対応

主治医が提案する標準治療の中身は、手術、放射線治療、抗がん剤治療の、いわゆる3大治療と言われるものがメインです。

ですからこのタイプのがん保険では『手術を受けたら…』といった具合に、具体的な受け取り対象の治療名が明示されています。

小さな一時金払いが基本

このタイプのがん保険からの受け取り金額は

手術を受けたら、20万円
放射線治療を受けたら、10万円
抗がん剤治療を受けたら、5万円

など、比較的小さな一時金で受け取れることが多いかと思います。

がん保険ごとに、治療が長引いた場合の、受け取り限度回数が設定されることもあります。

③がんの標準治療+αを保障

前に日本におけるがん治療の選択肢といったことを確認しましたが、日本には、標準治療以外にも、がん治療の選択肢自体はたくさんあります。

こちらは、標準治療を選択した場合、他の選択肢を選んだ場合、どちらにも対応してくれるタイプのがん保険です。

標準治療に加え自由診療もカバー

標準治療を選択した場合の保障は、②のタイプと同様です。一方、自由診療や先進医療などを選択した場合は、小さな一時金では金額が全く足りないということもあります。

一般的には、標準治療を受ける場合よりも、医療費の自己負担額も高額になるため、それに対応した金額設定になっていることが一般的です。

実費払いも一般的

自由診療、先進医療に対応する保険の場合、1回○○万円といった定額払いではなく、掛かった金額を受け取ることができるものも増えてきています。

そういった受け取り方法を実費保障ともいうのですが、最初はいくら掛かるかわからない中で、実際請求された金額で受け取れるということには安心感があるかと思います。

④がん診断を保障

こちらは最もシンプルなタイプで、主治医からがんの告知を受けたらお金を受け取れるタイプのがん保険です。

①~③のがん保険が、治療を受けたことに対してお金を受け取れるタイプでありましたが、こちらは治療を受けるかどうか問われません。

使い道自由のお金

こちらのがん保険は、先にお金の受け取りが確定するので、安心に早さがあると言えます。がんの告知を受けた後、その後のお金について不安になる方も多いかと思います。

どんな治療を受けるかに関わらず受け取ることができ、使い道自由のお金が先に銀行口座に振り込まれることは、そういったお金の不安を解消してくれる可能性があります。

大きな一時金が基本

この診断に対するがん保険は、50万円や100万円といった、比較的大きな一時金で設定することが一般的です。

治療を受けるたびに受け取るわけではないので、ある程度大きな金額である必要があります。先に受け取って、それを一定期間の治療費などへ充てていくという考え方です。

最後に

がん保険は今回見た①~④のタイプのどれか、もしくは複数を組み合わせた形で作られています。あなたが加入中のがん保険も、必ずどれかに該当します

そしてどのタイプを選べばいいかということは、あなたががん治療に対し、どのような考え方を持つかによって変わってきます。

ですからがん保険選びとは、がん治療に対し、どのようなお金がどのくらい掛かる可能性があるのか、そしてあなたがどんな選択をしたいのか、それをイメージできて、初めてできるのだと思います。

ですからランキング上位のがん保険に入るということは、あなたの考えが全く反映されていない、実はとても不合理な選択である、私はそう考えています。

是非、あなたのがん保険の担当者が、がん保険選びの良きサポーターであることを願っています。

次回は『#41 がん入院を保障するがん保険』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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