#39 がん保険は大きく2つ|がん保険のトリセツ|第4章 がんと保険のはなし

今回から『第4章 がんと保険のはなし』ということで、具体的にがん保険を始めとした保険の内容に触れてまいります。まずは今回と次回で、がん保険の分類を行っていきます。

私は過去に10,000回以上の保険相談会に携わってまいりましたが、保険は数が多すぎてよくわからないという声をたくさんいただきました。それを整理する方法を、一緒に確認していきたいと思います。

がん治療に対するがん保険

あなたが加入しているがん保険、そして世の中に流通するがん保険を、大きく分類すると2つに分けられます。そのうちのひとつが、がん治療に対するがん保険です。

がん保険だから当たり前の話しでは?と感じませんか。まさにそのとおりなのですが、のちほどもうひとつのものと比べると、この分類の意味をご理解いただけると思います。

治療を受けたら受け取れる

このタイプのがん保険は、例えば

・がんの手術を受けたら1回あたり、20万円受け取れる
・がんの抗がん剤治療を受けたら1回あたり、10万円受け取れる

といった具合に、何をしたらいくら、ということが明示されています。

自分が受けた治療が、明示されているものに該当すれば、決まった金額を受け取ることができます。裏を返せば、該当しない治療を受けてもお金は受け取れません。

受け取りは治療終了後

このタイプのがん保険は、『治療を受けたら…』ということが条件ですので、治療が終わらないと、お金の受け取りが確定しません。

通常、治療が終了したらそこで医療費の請求を受けますので、一旦あなた自身の財布から治療費を支払い、後日がん保険からのお金を受け取ることが一般的です。

がん診断に対するがん保険

2つ目ですが、こちらには治療という言葉が出てきません。ですから、手術でいくら…などの細かいことの明示はありません。

ひとつ目のがん保険よりは、シンプルと言えるかもしれません。あなたの、そして世の中のがん保険すべて、基本的にはこのどちらかに分類できます。

がんになったら受け取れる

こちらは診断に対してなので、精密検査の結果を聞きに行った時に、医師から『残念ながらがんが見つかりました…』という告知を受けた時点で、基本的にお金の受け取りが確定します。

こちらは治療をどうするかが決まる前に、お金が受け取れることが決まります。この早い段階での決定により、ひとまずお金の心配は和らぐかもしれません。

受け取りは診断確定後

告知を受けた時点ですぐに手続きを行えば、治療が終わる前に、がん保険からのお金があなたの銀行口座に振り込まれます。がん治療終了前に口座残高が増える、これには一定の安心感があるかと思います。

こうして早くお金が振り込まれることで、治療終了後の医療費立替払いを回避できるというメリットもあります。

がん保険相談の役割

例えば、以下の2つのがん保険があったとします。

①手術を受けたら、20万円、抗がん剤治療を受けたら、10万円
②がんの診断を受けたら、100万円

そして、がんで手術を受けて、その後1か月に1回、通院で抗がん剤治療を、全部で8回受けたケースで、それぞれの保険を見比べてみます。受け取れる金額は、どちらも総額100万円です。

立替払いの有無

手術と8回の通院治療で、全部で9回医療費の支払いをする場面があります。①の保険の場合、その9回すべて一旦立替払いが必要となります。

一方、②の保険の場合、がんの告知を受けてすぐに手続きをすれば、場合によって最初の手術分も、がん保険からのお金でまかなえます。仮に手術分が間に合わなかったとしても、少なくともその後の通院分は、がん保険からのお金で払うことが可能です。

手続きの手間

より負担感があるかもしれないものとして、請求手続きがあります。①の保険の場合、すぐにお金を受け取りたい場合、治療終了後、毎回手続きが必要で、合計9回も行う必要があります。

②の保険の場合は、当然1回だけです。もし、①の保険で手続きを1回で済ませたい場合、最後の治療終了後にまとめて行えば可能ですが、全部の治療が終わるまでは全額立替払いをする必要があります。

組み合わせが一般的

実際のがん保険は、①か②のどちらかを選ぶということもできますが、どちらかというと①、②を組み合わせたタイプが主流になっています。

あなたが加入しているがん保険もそういったタイプかもしれません。是非この機会に一度確認することをおススメいたします。

さらに3つのタイプ

ちなみに②のタイプのがん保険は、わりとシンプルなので、がん保険商品による違いは少ないかと思います。一方、①のタイプのがん保険では、商品によって保障内容の違いがそれなりにあります。

ざっと分類をすると、大きく3つのタイプに分けられます。前にも少し触れましたが、①のタイプは、すべての治療に対応しているわけではありません。どこまでカバーするかで違いがあります。

4つのがん保険

そのように見ていくと、がん保険は①のタイプで3種類、そして②のタイプと、大きく4つのタイプに分けることが可能です。

次回、その4つを比較していきますが、あなたのがん保険がどのタイプで、どのようなメリット・デメリットがあるか、是非、確認していただきたいと思います。

最後に

保険はよくわからない。私は過去に、10,000回以上の保険相談会に携わってきて、その言葉をお客様からたくさんいただきました。

なぜ難しいのか。いきなりたくさんのパンフレットを並べてしまうからです。難しい保険だからこそ、まずは大きなタイプの存在から知っていく必要があります。

ですからがん保険選びとは、大きくどのような特徴のがん保険が存在し、あなたにとって、どのメリットが必要か判断して、初めてできるのだと思います。そしてそれはおススメされたがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。

是非、あなたのがん保険の担当者が、あなたのがん保険選びの、良きサポーターであることを願っています。

次回は『#40 あなたのがん保険はどのタイプ? 』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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