#33 長期戦のがん治療|がん保険のトリセツ|第3章 がんとお金のはなし

がんという病気、一度手術できれいに取り除けたとしても、再発や転移の恐れがある。しかも来るのか来ないのかわからない怖さ、そこにがんの特殊性があると思います。

今回は、早期段階でがんが見つかり、標準治療の手術を受け、無事にがんを取り除けたケースのその後について、一緒に確認していきたいと思います。

手術後の過ごし方

手術で無事にがんを取り除けたとしても、がんの場合、すぐに診察が終わることは少ないと言われています。

がんの種類にもよるのかと思いますが、基本的には数年は、かかった病院と付き合っていくことになるようです。

定期的な検査

初期治療終了後、3年間は再発の可能性が高いとされる期間のため3〜6カ月ごと、4〜5年は6〜12カ月ごと、5年以降は年1回の定期的な経過観察が勧められています。

これは、国立がん研究センター情報サービスにおける、乳がんの術後の経過観察についての記述です。基本的には再発・転移の有無などを確認するために、定期的な検査を行うことが多いようです。

必要に応じ薬の治療

国立がん研究センター情報サービスによると、手術で無事にがんを取り除けたケースにおいても、再発防止のため、薬の治療を行うケースがあるようです。

私の母も過去に、乳がんの手術が無事に終わった後も、引き続き通院で薬の治療を受けることになりました。だいたい1か月に1回くらいの頻度でした。

転移が見つかりました…

私の母は以前、乳がんの手術から4年経過後、定期的な検査の中で、肺への転移が確認されました。『転移の時の方がショックだった…』と、のちに言っていました。ここから長期戦のがん治療になっていきます。

どれだけ気を付けていても、どうしても起こり得る、がんの再発・転移。がんの備え、やはりこの長期戦のシナリオを想定する必要がありそうです。

薬がメインの治療に

がんの種類や進行度合いにより、治療法は変わってくるのかと思いますが、一般論として、体中にがんの転移が広がってしまうと、手術が難しくなり、薬での治療がメインになると言われています。

がんの3大治療のひとつに、抗がん剤治療というものがありました。私の母も転移の確認後、この抗がん剤治療を長期で続けていくことになりました。

副作用との戦い

抗がん剤治療は、全身のがんを叩くことができるメリットの半面、体へのダメージも伴うというデメリットがあると言われています。これが長期で続くことになるので、がん患者さんを悩ませることになります。

一般的に、吐き気、めまいや脱毛などがよく耳にする副作用ですが、現在は薬の種類もかなり増えていて、その薬特有の副作用も様々あるようです。

長期戦におけるお金の話し

治療が長期化することで経済的な影響も出てきます。当然ですが、継続的な治療費が掛かっていくことになりますが、実は影響はそれだけにとどまらない可能性があります。

がん保険に加入する段階で、あなたの保険の担当者から、これから触れることについてイメージさせてもらったかどうか、是非思い起こしてみてください。

月々の出費がup

定期的に通院して抗がん剤治療を受ける場合、一般的に月に数万円単位の医療費負担が続いていくと言われています。

この金額は、以前触れた高額療養費を申請できるレベルの医療費負担でないことも多いため、月数万円の費用が固定化されて、これが大きな負担となる方もいらっしゃいます。

月々の収入がdown

抗がん剤治療が長期化して、副作用に悩まされるようになると、今までどおりに働けないことも考えられます。時短勤務や配置換え等により、月の収入が下がることが考えられます。

残業手当や夜勤手当など、体力を駆使して稼いでいた方の場合、想像以上に収入が下がってしまう可能性もあると言われています。

働くことができない

厚生労働省の調査によると、がん患者さんの約20%が、その後退職・廃業をしているようです。治療の長期化によって、体力が衰え、仕事の継続が困難となる方もいらっしゃると思います。

また、退職・廃業をしたがん患者さんのうち、約60%は『再就職・副業の希望は無い』と回答しています。

傷病手当金の出番

会社員の方の場合、万が一がん治療の副作用などで、長期で働けない状態になってしまった場合、『傷病手当金』という保障を受けることができます。

細かい記述は別にしますが、今までもらっていた月収の6割くらいを、健康保険の方から受け取ることができます。そして長引いた場合、最長1年6ヶ月まで受け取ることができ、がん治療が長期化の場合、助かる公的保障のひとつだと思います。

やむを得ず退職も…

有給休暇を使い果たし、さらにその後の休職期間も限度に達しまい、退職をすることも考えられます。退職をしてしまうと、収入はゼロになります。

治療を行っている間にこのケースに至ってしまった場合、お金に関しては最も厳しい状況になる可能性があります。

最後に

がんはお金が掛かると多くの方が考えています。ただ、そのお金が治療費ばかりのイメージだとかなり怖いことになる可能性があります。がん保険などを考える際、がん治療が長期化し、収入への影響が出ることを、必ずイメージする必要があると思います。

ですからがんのお金の備えとは、最も厳しいシナリオになった場面でも、安心して治療を継続できるための準備を含めて、初めて成り立つのだと思います。そしてそれは治療費に備えるがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。

是非、あなたのがん保険の担当者が、がんのあらゆるお金に関するサポーターであることを願っています。

次回は『#34 傷病手当金とがん治療』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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