#18 がんの標準治療|がん保険のトリセツ|第2章 がんと治療のはなし
日本にはがんの治療法がたくさん存在します。そのたくさんある治療の中で、『標準治療』と呼ばれる治療が存在します。あなたはがん保険の提案時、耳にされましたでしょうか。
実は、この標準治療の存在、実際がんになってしまった時には、必ず知っておきたい情報です。がん保険加入時に聞かなかったあなたへ、特にお届けしたい内容です。
目次
標準治療は最良治療
標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。
これは国立がん研究センター情報サービスに掲載されている、標準治療の定義です(2022年7月14日時点)。最良の治療で患者さんに推奨される治療とあります。
最良が標準ということ
『標準』という言葉を耳にすると、なんとなく『一般的』『平均』『並』というイメージがありませんでしょうか。ところががん治療においては、最良のものが標準となっています。
なぜ標準という言葉なのかということが気になるかもしれませんが、ひとまずそういうものだと捉えておく必要があります。
国が推奨する治療
この標準治療、がん患者さんへ推奨する役割は主治医の先生が負いますが、その先生の行動方針を定めているのは厚生労働大臣、つまり国です。
この標準治療は、国が日本でがんになった方すべてに推奨している治療です。そして、健康保険が適用となり、誰でも比較的小さな経済的負担で受けられるようになっています。
標準治療かそれ以外か?
がんの種類、使用する医療機器、投与する薬品等々、たくさんあるがんの治療法を分類する方法は様々です。
ただ私は、たくさんある治療法の分類として、標準治療かそれ以外かという分類を、自分のお客様へはお伝えしています。
情報に接した時に色分けを
万が一あなたががんになってしまった時、インターネットで治療についての情報を集めるかもしれません。『がん 治療』といったキーワードで検索すると膨大な量の情報が出てきます。
その新しい治療情報を目にした時に、その情報がどこから出てきているのかということを、確認することおススメしています。それが、国が推奨するものなのか、そうでない独自の情報なのか、ということを把握することが大切だと、私は考えます。
それ以外には要注意
国や主治医の先生が推奨する標準治療以外の治療の場合には、注意深く情報を精査する必要があると思います。なぜなら、根拠がある情報かどうかわからないからです。
ある医師の個人の見解であったり、あるがん患者さん個人の感想であったり、あなたにとって響きが良くても、必ずしもあなた自身にとって適切なものかどうかわからない場合があります。
それ以外は自分で…
最終的にどの治療を選択するのかは、あなたの自由です。標準治療が絶対というわけではないので、比較検討することも大切だと思います。
ただし、標準治療以外のものを検討したい場合には、あなた自身で行動を起こす必要があります。そして、違う治療を選択する場合も、主治医の先生との関係は良好に保つことが大切です。
それ以外を主治医に求めない
もしあなたが標準治療以外の治療を見つけ、それに対し魅力を感じたとしたらどう思うか。もちろん人それぞれですが、人によっては主治医の先生からお墨付きをもらいたいと思うかもしれません。
しかし残念ながら、主治医の先生が推奨するのは標準治療が基本です。それ以外の治療に対しては、科学的根拠に乏しいという見解が出てくることが考えられます。
関係悪化でがん難民に
主治医の先生が、あなたが良いと思う治療に対し理解を示してくれないことで、主治医との信頼関係にヒビが入り、最悪の場合関係が途切れてしまうことがあります。
自分の考えで標準治療以外の治療に走り、結果病状が悪化してしまい、再び元の病院にかかりたいが、関係が切れたことで医療にありつけない、そんながん患者さんも存在し、がん難民と位置付けられたりしています。
軸として押さえる
最終的にどのような選択をするのか、これはあなた自身が決めることです。実際、標準治療以外の選択をするがん患者さんもいらっしゃいます。
ただし、選択するためのプロセスについては、まずは主治医の先生からの標準治療の説明をよく吟味し、そのうえで何か不安材料があれば他の情報にも触れてみる、そんなスタイルを、私は自分のお客様にひとつの手段としてお伝えしています。
メリット・デメリットを押さえる
標準治療の特徴として、今までに数多くの実績がある点があげられます。もともとかなりの数の臨床試験を行い、そこから標準治療としてさらに治療が行われてきています。
万が一あなたががんになってしまった時、過去にあなたと同じような症状のがん患者さんの治療実績がすでにあり、それを主治医から聞くことができます。それにより、標準治療のメリット・デメリットを知り、それが冷静な判断につながるのではないでしょうか。
求めるものが他にあれば…
がん患者さんの治療に関する記事で目にすることがあるはなしで、俳優の方が舞台出演への影響を考え、つらい副作用の恐れがある薬での標準治療は回避するといったものがあります。
いわゆる生活の質(QOLと言われます)を維持することを優先し、治療選択の判断材料とする一例です。ただ、これも標準治療について、よく理解するからこそできることなのではないでしょうか。
がんは場合によって、再発・転移等で長い戦いになる可能性があります。そのため、最初にどのような治療を選択するかが、非常に大切であると言われます。
そして、その大切な最初の選択(決断)は、初めてがんの告知を受けて、メンタル的なダメージを受けている中で行わなければなりません。あらかじめ標準治療の位置づけなどの情報を持っていないと、適切な判断ができない可能性があります。
ですからがんの備えとは、この告知の瞬間から適切に対応できるための準備を指すのだと思います。そしてそれはがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。
是非、あなたのがん保険の担当者が、がんの告知を受けた瞬間からのサポーターであることを願っています。
次回は『#19 がんの3大治療』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇◆◇補足◇◆◇
このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。
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