がん保険の選び方|『がん保険を考えるタイミングは?』今です!入るかどうかは別だけど、今考えるべき、というはなし
私はこれまでに、来店型保険ショップで、10,000回以上の保険相談会に携わってまいりました。その中で『がん保険を考えるタイミングはいつごろか?』という質問を結構受けました。みなさまの率直な疑問だと思います。当然ですが、がんになる可能性は、高齢になるほど高くなる。逆に言えば若いうちは可能性が低いので、どのタイミングくらいから考える(保険に入る)のがムダが無くて良いのか?というお悩みなのだと思います。
最終的に、がん保険に入るかどうかは、人それぞれです。私もすべての人が、年齢が上がってきたらがん保険に入るべきとは思いませんし、逆に20代などの若い年齢ならば、必要ないとも思いません。ただし、がんへの備えは、全ての人に必要だと思っています。
そこで今回は、がん保険について考えるタイミング、そしてがん保険に加入するタイミング、すべての人に必要ながんの備えについて、一緒に考えていきたいと思います。
まさに今、『がん保険、今入るべきか、もう少し先にするか』迷っているあなたへ、お届けしたいはなしです。
目次
そもそもがん保険は、がんになる確率が高いから入るものなのか?
がん保険を始めとした保険というものは、事故が起こる確率が高いから加入を考えるものなのでしょうか。結婚をして子供が生まれると、割と多くの方が生命(死亡)保険に加入します。それはなぜかというと、自分に万が一があった時に、残った家族の生活が困らないように、と考えるからだと思います。
20代、30代で死亡する確率が高いかというと、そうではありません。それと同じで、がんになる確率も20代、30代では決して高くはないですが、なってしまった時の怖さがあるから考えるのだと思います。
確率が高くなったら入れない
40代、50代と年齢が上がっていくと、がんになる確率は上がります。その頃になってからがん保険に加入しようと思った場合、加入できたとしても月々保険会社に支払う額(保険料といいます)は、高くなります。
また、健康診断で異常の指摘があったり、すでに何かで医者にかかっていたりすると、場合によってがん保険の加入の診査がとおらず、がんが怖くなった時にがん保険に加入できないというリスクがあることも押さえておく必要があります(※1)。
※1 がん保険に加入できないリスクについては、過去の記事『がんの備え|『がん保険はいつでも入れる?』お金を払えば入れると思ってはいけない、というはなし』を、是非ご覧ください。
今起きたらどうなるのか?の視点
さきほどの死亡保険加入の例のように、がんに関しても、なる確率ではなく、なってしまった時にどのような影響が起こるのかを知ることが大切です。保険のはなしですから、その影響は主に経済的なところになります。
すなわち、今のあなたの立場、環境で、がんになってしまった場合に、どの程度経済的な損失が見込まれるのか?ということを判断材料にすることが大切です。そのうえで、がんになる確率なども合わせて、総合的に検討したらよいかと思います(※2)。
※2 がんになってしまった時の経済的損失については、過去の記事「がんの備え|意外と忘れられがちな、がんになってしまった時にも発生する普通のお金」を、是非ご覧ください。
『がん保険を考える=がんを知る』ということであれば、今
『がんに備える』ということ、イコールがん保険加入ではありません。どういうことかというと、良いがん保険に入っていれば、がんへの備えが万全かというと、そうではないということです。
ですから、何かでがん保険が気になったとしたら、それはいい機会だと思っていただきたいと、私は思います。是非その機会に、がん保険の加入の必要性、そしてがんになってしまった時に、どのようなシナリオが考えられるのか、知っていただきたいと思います。
がんになってからでは遅い
さきほども少し触れたとおり、がんになってしまったり、がんのリスクが高いとみなされるような健康状態になってしまった場合、がん保険にはもはや加入できないことがあります。ですから、その前提条件をふまえれば、がん保険の加入を考えること自体は、リスクの低いうち(少なくともがんになる前)でなければなりません。
なかなか何もない日常、もしくは忙しい日常で、がんのことを考えるきっかけというものは多くないのではないかと思います。そういった意味で、何かの拍子でがん保険のことが気になった時、それはまさに考える良いタイミングなのだと思います。
知れば納得して判断ができる
何かのきっかけでがん保険を検討する際、まずはがんという病気のことを知ることが大切です。がんを患った際、あなたの生活(人生)にどのような影響が出てくるのか、それを知ることが第一歩です。がんになってしまった時の医療費の相場、どの程度の治療期間になるのか、また仕事への影響など、がんはあなたの人生に様々な影響を与える可能性があります(※3)。
そのさまざまなシナリオを知れば、がん保険に助けてもらう必要があるのか?加入するとしたらどのようながん保険がふさわしいのか?ということが見えてきます。そうしたら、納得して結論を出すことができますし、がんになる前に少しでもがんのことを知ったということ、それ自体がなにより私は大きいことだと思います。
※3 がんを患った際、どのような影響が出るのかということについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険を考える必要がある人』いくつかのチェックポイントがある、というはなし」を、是非ご覧ください。
『がんに備える=がん保険』は、間違い
ひとつ怖いことがあります。それは、『がん保険に入っているから、がんは安心!』と思っている方がいらっしゃるということです。そしてさらに怖いことは、顧客からがん保険の契約をとって、その顧客に『これでがんの備えは安心ですね』という保険屋さんがいるということです。
残念ですが、がん保険の加入で、がんの備えが万全になることはありません。がん保険は、がんの治療費に対して助けてくれる保険です。がんになってしまった時に、かかってくるお金は治療費だけではありません。そして何より、お金だけあっても、がんとは戦えないという現実もあります。
※4 『がん保険に入っているから、がんは安心!』ということについては、過去の記事「がんの備え|『がんは若い時に、会社で終身保障のがん保険に入っているから安心なんだ!』とおっしゃったお客様との出会い」を、是非ご覧ください。
がんになることの影響を知る
がんになってしまった時に、最初にダメージを受けるのはメンタル面です。いまだに『がん=死』というイメージを持っている方もいらっしゃいますが、がんの告知を受ければそれなりのダメージは受けます。そして、次に出てくるのが、治療の選択です。主治医の先生から提案される治療を信頼して受けるのならば良いのですが、他にもっと良い治療方法は無いのか?と考えるがん患者さんもいらっしゃいます。がんは、情報戦とも言われていますが、メンタル面をカバーする精神力の次に必要となるのが、情報収集力です。
実は、お金のはなしが出てくるのは、治療が終わってからになります。がんと戦うためには、お金を払う前にかなりのエネルギーを必要とする場合があります。
それからお金の備えの検討
精神力、情報収集力があって、あわせて経済力を持つことで、本当の意味でがんへ備えるということになるのだと、私は考えています。お金を積めば、普通の人では受けられない、最先端の高度な治療を受けることができ、末期がんも治してくれるというようなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、がん治療においてはそれは当てはまらないと思います。
どういったお金をどの程度備えておくか、それを考えるためにも、是非がんを知ることから始めていただきたいと、私は思います。
日本で暮らしていると、がんを学ぶ機会がない
がんを知ることの大切さを申し上げましたが、実は日本では身近にがんだけを学ぶ場はなかなかありません。普通に生活をしていると、がんのことを考える機会も少ないですから、学ぶ場を探す機会も少ないかもしれません。
ただし、がんはそいういった事情を待ってくれるわけではありません。やはり、主体的に動いた人と、そうでない人で、いざという時に差が出てしまうのかもしれません。
学校ではがん教育がスタート
この記事を読んでいただいている方は、すでに社会人になっている方だと私は想定しておりますが、社会人になると、学ぶか学ばないかは、自己責任になってしまいます。ところが、数年前から中学校や高校では、保健体育の時に、がん教育がスタートしています。
日本では、がんになってしまう人、がんで亡くなってしまう人が、増加し続けています。国は本当は学生さんではなく、社会人に対してがん教育をしたいと考えていると思うのですが、なかなかそれをする手段もありません。そこで確実にできる、学校教育からがん教育をスタートさせているのだと思いますが、本当にその教育が必要なのは、すでに社会人になっている私たちの方なのだと、私も思います。
大人は保険の相談時を大切に
すでに社会人になった人が、どこでがんに関する情報を得るのか?少し注意は必要ですが、がん保険や生命保険の検討時が大切な機会なのだと思います。何が注意なのかというと、がんのことを良く学んでいる担当者と出会わなければ、ただただ安くて良いと思われるがん保険を紹介されるだけで、終わってしまうからです。
是非、生命(がん)保険の相談の機会に、あなたの保険の担当者から、がん保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなど、実際がんになってしまった時の影像が浮かぶ情報を得ながら、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※5)(※6)。
がんと聞いて、がん保険商品の選択肢しか出せない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします(※7)。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。
(※5) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください
(※6) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください
(※7) 生命(がん)保険相談のセカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険選びにもセカンドオピニオン』一番大切なことは、オトクながん保険選びではない、というはなし」を、是非ご覧ください