がん保険の選び方|『終身保障か?定期保障か?』がん保険を選ぶ際の、ひとつのポイント、保険期間についてのはなし

生命保険全般に言えることなのですが、加入時に『いつまで保障してもらうか?』という、期間設定の選択があります。これを、専門用語でいうと、『保険期間』と言います。契約期間ととらえていただいても良いかと思います。

がん保険を選ぶ際にも、この保険期間が必ず出てきます。そして、この保険期間ですが、メリット・デメリットを押さえて、納得して選ぶことが大切です。生命保険には、死亡保険、医療保険、介護保険など、いろいろな種類がありますが、個人的には、がん保険において、その選択の重要性が高いと思っています。

終身保障か定期保障、2択の保険期間

がん保険を選ぶ際に、保障内容や、毎月あなたが負担する額(保険料と言います)は、まず気になると思います。もちろんそれも大事なことなのですが、この保険期間についても、よく吟味していただきたいと思います。

今販売されているがん保険のトレンドでいうと、『終身保障』のがん保険が多い印象です。これは、お客様側で終身保障の方が選ばれていることでもあると思います。ただ、メリット・デメリットはそれぞれですので、そこを整理したいと思います。

終身保障は生きている限り

終身保障のがん保険は、『身が終わるまで』ということで、何歳かはわかりませんが、寿命を迎えるまで、あなたのがんに対して、守ってくれます。なんか安心感ありますよね。そして、このタイプの場合、加入した時の毎月の負担額(保険料)は、最後まで変わりません。『途中で自分の負担が値上がりしない』というところも喜ばれています。

ただし、何十年後かわからない一生涯の保障なので、 同じ内容のがん保険であれば、定期保障のがん保険と比べ、毎月の負担額(保険料)は、高額になることが一般的です。

不動産賃貸のようなイメージ

定期保障のがん保険は、5年とか10年とか満期があるタイプのがん保険です。先ほど述べたように、期間限定なので、月々の保険料は、終身保障タイプよりも安く抑えられる傾向があります。そして、不動産の賃貸のように、満期が近づくと、『自動更新になります。満期でやめる場合は連絡してください。』と案内されます。

不動産と違い、保険の場合、更新時の年齢で保険料が再計算されます。がん保険の場合も、基本的に更新後は、保険料が上昇します。なぜなら、年齢が上がるとがんになるリスクが上がるからです。

がん治療の実態から考える、保険期間の選び方

終身保障と定期保障で、それぞれメリット・デメリットがあることはご理解いただけたと思いますが、がん保険選択において、どちらのメリットを取るべきか、また、どちらのデメリットであれば許容できるかということを、がん治療の実態と照らしながら、見ていきたいと思います。

がんは変化の激しい分野

がんは、これだけ医療技術が発達した現在においても、まだまだ分からないことが多いと言われている病気です。もちろん以前よりも、5年後、10年後生存率は上がっていますし、治療の選択肢も格段に増えています。少なくとも、昔のような『がん=死』という時代ではありません。ただし、まだ完治ができない病気ともいわれているので、いつ再発・転移が起こるかわかりません。

ということで、がんは今でも世界中で研究がされています。そして、次々に新しい治療方法が出てきています。今も手術がメインではありますが、その手術でも、今までよりも身体への負担を小さくする術式が生まれていますし、放射線治療の技術も上がっています。その他薬物療法、免疫療法、遺伝子治療などなど、様々な治療法が現在進行形で進化しています。

がん保険も変化

がん治療が変化しているのですが、実はそれに合わせてがん保険も変化しています。昭和49(1974)年、アフラックが日本で初めてがん保険を発売しました。その当時のがん保険の保障内容ですが、

・がんで入院したら、1日当たり4万円お支払い
・がんで死亡したら、200万円を家族にお支払い
・保険期間は、終身保障

というものでした。この当時、がんの治療は今ほど選択肢はなく、手術とその後の抗がん剤治療という形が主流でした。そして、入院も今と違い長期入院が多く、そのため『入院1日当たり4万円』といった保障が必要だったのです。当時は、手術も抗がん剤治療も入院して行うことが多く、結果、『がん=長期入院』という前提がありました。

ところが、現在は違います。私の母は、2010年に乳がんの手術、その後の抗がん剤治療を受けました。入院日数は、8日間です。そして、抗がん剤治療は、すべて通院で行いました。そして、その後、がんの転移で、約9年にわたり、治療を継続しましたが、ほぼすべて『通院』での治療でした。

上にあげたがん保険を今持っていても、ほとんどお金を受け取ることはできません。実際、この保険に入っていた方の相談を、2018年に受けましたが、がん治療の実態の変化をお伝えし、保障の見直しをしたことがあります(※1)。

今後もがんの治療は、変化してく可能性の方が高いと思います。そして、もしがん保険でがんに備えるならば、定期的な見直しをかけるという前提は、持っていた方が良いと私は思います。

※1 この相談事例の詳細は、過去の記事「『がんは若い時に、会社で終身保障のがん保険に入っているから安心なんだ!』とおっしゃったお客様との出会い」を、是非ご覧ください

コストの観点から考える、保険期間の選び方

さきほど、少し触れましたが、同じ内容の保障であれば、原則、定期保障のがん保険よりも、終身保障のがん保険の方が、月々の保険料は高くなります。また、同じ定期保障でも、設定する年数(10年、20年、30年など)が長ければ長いほど、保険料は高額になります。

ただし、短い期間の定期保障にした場合、長く保険を続けたい場合には、しょっちゅう満期が来て、更新をすることになります。更新をすると、保険料が高くなります。人生100年時代と言われますが、30歳の方が100歳まで同じ契約を続けるならば、終身保障の方がトータルの支払保険料は、安くなります。

なぜがん保険に入るのか?

保険期間を選ぶにあたり、そのがん保険に加入する理由(目的)を考える必要があります。がんに限りませんが、預貯金がいくら使っても無くならないほどたくさんあれば、保険に加入しようと考えるでしょうか?おそらく考えないと思います。なぜなら、お金の不安がないからです。

今はまだ十分な預貯金がなく、がんで働けなくなったり、医療費がたくさんかかったら困る、だからがん保険に入っておく。ではいつまで?がんを始めとした、医療費などへの備えの預貯金ができるまでです。それはいつ?もちろん完璧にはわかりません。ただし、想定することはできるはずです。現状や将来の見通しから、ある程度の想定をして、保険間の選択をすることが、ひとつのやり方です。

いつの保障を買うのか?

がんになった時の経済的な負担が怖いため、がん保険に加入するわけですが、いつがんになるのが怖いのでしょうか?例えばあなたが今30歳だとして、今?60歳時点?80歳の時?どの時点でがんになることが怖いでしょうか?これは今です。30年後、50年後は、怖いかもしれませんが、怖くないかもしれません。預貯金が十分あるかもしれないですし、かぜのように、がんは薬局で薬買って治ってしまう時代になっているかもしれません。

終身保障のがん保険を選択するということは、今から80歳、100歳時点の、がんの保障を買うということです。30歳のあなたにとって、そこに経済合理性があるかどうか、それが保険期間選択のポイントです。

いつまでがん保険に頼って生きるか?どこかで保険の卒業式を。

日本人の多くの方が、がん保険や生命保険に加入します。この記事の対象となる方は、20代、30代、40代といった年代で、これから将来(老後)へ向けて、貯蓄(資産)を作っていく方たちです。ですから、現時点や近い将来で、がんを始めとした、収入や貯蓄に影響を与える与えるアクシデントが起こることは困ります。ですから、がん保険やその他の保険に加入するわけですが、将来のどこかの時点で、もう保険は無くても大丈夫だという、保険を卒業するゴールを設定していただきたいと思います。

もちろん進んでいけば、多少のズレや、想定外ということはあると思います。ただ、保険は貯蓄(資産)を作っている間に助けてもらうもので、一生入るのが前提ではない、ということを認識していただければと思います。

保険はタイマーとして活用

私は、20代、30代、40代の方で、まだ預貯金が十分でない方であれば、がんの保障は持っておいた方が良いと考えています(※2)。そのうえで、今回のテーマ、終身か定期か?の保険期間ですが、私は10年程度の『定期保障』がおススメというスタンスです。 がんの10年の保障を、10年間のタイマーとして活用することを、合わせておススメしています。

タイマーとはどういうことか?加入時に、10年間がんにならず、無事に満期を迎えられた場合の目標を設定していただく、その目標達成のために活動する時間が『終了しました』という合図として、定期の保険期間を設けるのです。具体的には、10年後に預貯金の状況、収入の状況がどうなっていたら、保険は卒業という指標を設け、それの達成に向けて10年間を具体的に過ごすようにします。10年後、目標に対する結果を見て、もう少し保険を継続するかどうかを判断していくという使いこなしです。

10年というわりと短めの定期にして、月々の保険料コストを抑える。その抑えた金額を預貯金や資産運用に回して、自由に使える資産を早く作るというスタンスです。

※2 その理由については、過去の記事「意外と忘れられがちな、がんになってしまった時にも発生する普通のお金」を、是非ご覧ください

終身保障は定期メンテナンスを

過去に、10,000回以上の保険相談会に携わってきて、たくさんのお客様の声を聴いてきました。この保険期間に関しても、ご意向はそれぞれです。私は、10年定期に経済合理性があると考えますが、やはり更新で保険料が上がっていくことが嫌だという方もいらっしゃいます。そして、一度がんになってしまうと、がん保険の見直しはできなくなります(新たにがん保険に加入するための、診査にとおらなくなるため)。であれば、やはり終身保障がいいというお考えもあります。

もちろんどちらかが絶対ではないので、最終的に終身保障が良い方は、そちらを選んでよいと思います。終身タイプを選んだ際に、是非覚えておいていただきたいことがあります。それは、定期保障のように満期がないため、加入している自分のがん保険について、考えるきっかけがなかなかないということです。さきほどお伝えしたように、がん治療の実態は、変化していくことが予想されます。その変化に、過去に加入したがん保険がついていけない場合があります。終身保障に加入の際には、定期的に自分で見つめなおす機会を作ることをおススメします。

実際にがん保険を考える際には、こういったはなしを含め、是非担当者の方から、終身保障、定期保障のメリット・デメリットの説明を受けて、納得して選ぶようにしてください。もし、担当者の意見が、特定の意見、特定の商品に偏っているようであれば、セカンドオピニオンをとることをおススメいたします。

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