がん保険の選び方|『回数無制限、がん保険の診断給付金』パンフレットの後ろの方を読み比べる必要がある、というはなし

がん保険のパンフレットを開くと、『診断給付金100万円』といった保障を目にします。これは、初めてがんの診断を受けた際に、どういった治療を受けるかに関わず、100万円というまとまった一時金を受け取れるという保障です。医師の診断だけが要件なので、後でもめる恐れも少ないですし、いきなり銀行口座に100万円振り込まれれば、経済的な安心感もありそうです。

この診断給付金、以前は一度受け取っておしまいというものが多かったのですが、現在は『回数無制限』というものも増えています。それだけ、がんになっても亡くならない時代になったということなのかもしれません。ただ、この回数無制限の診断給付金。2回目以降の受取の条件は、がん保険商品によって違います。その中で、2回目以降受け取る場合に、新たながんの診断が必要かどうか?というものがあります。

そこで今回は、がん診断給付金の、2回目以降の受取のために必要な条件で、パンフレットなどを細かく見比べないと気付かない、がん保険契約ごとの微妙な違いについて、見ていきたいと思います。

まさに今、『がん診断給付金付きのがん保険を比較』しているあなたへ、お届けしたいはなしです。


『診断給付金』2回目以降受け取りの条件

回数無制限のがん保険の診断給付金、2回目以降の受取条件に、入院したら…、通院したら…、治療を受けたら…、といった条件があることについては、以前に触れてきました(※)。

今回は、それよりももっと細かい、パンフレットの後ろの方のページを読み比べないと分かりづらい点について、確認していきます。

(※1) 診断給付金の、2回目以降の受取条件の違いについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険の診断一時金』パンフに書いてある小さな文字に注意、というはなし」を、是非ご覧ください

新たな診断が必要かどうか?

今回確認する診断給付金の、2回目以降の支払い条件は、『新たながんの診断が必要かどうか?』です。例えば、1年に1回で、回数無制限という条件の診断給付金で、1度受け取って、1年経過した時に、再発や転移などの診断が必要かどうか?という点に、実は違いがあります。

簡単に言うと、初めてのがんの治療が、再発・転移がないまま、1年を超えた時に、再び診断給付金を受け取れるかどうか?の違いです。これを支払ってくれるがん保険と、払ってくれないがん保険に分かれるということです。

パンフの後ろで図になっている

これ自体、診断給付金の説明書きの文章を読めば、もちろん書いてはあります。ただし、がんになったこともない人が、その文章を読んでイメージがつくかどうかが問題で、おそらくイメージできない人の方が多いと思います。

そこで、パンフレットの後ろのページに、いくつかのケースを図示して、説明がされていることがあります。このケースは出る、このケースは出ないといった具合に。この図を、いくつかのがん保険を比較すると、違いが見えてきますので、要チェックです。


保険の受取り条件は、シンプルが大切

がん保険は、がんに対するいろいろな保障が組み合わさってできていることが一般的です(※2)。その中で診断給付金は、初めての時に関しては、がん診断だけで受取れるため、非常にわかりやすいという点が良いところなのですが、2回目以降になると、注意も必要です。

(※2) がん保険の保障内容については、過去の記事「がんの備え|取扱い注意!がん保険には、2種類ある。その選択次第で、がんになった時の備えが変わってくるというはなし」を、是非ご覧ください

悩まなくて良いものが安心

とにかくがん保険は、悩まなくて良いものを選ぶことが大切です。1年に1回ならば、1年経過後のあらゆるケースで受け取れることが望ましいところです。ですから現状は、もしがん保険の診断給付金を付加するならば、各がん保険の2回目以降の支払い条件を良く読んで、一番やさしい条件のものを選ばなければなりません。

正直なところ、がん治療の実態を知らない方が、一番良いと思えるものを選ぶことは難しいかもしれません。できれば、がんに詳しい担当者に相談した方が良いかもしれません。

比較しきれない

今がん保険に加入する場合、がんとがん保険をしっかり学んでいる担当者に相談すれば、ベストと思えるものを選べるかと思います。ただし、そのベストの選択は、あくまで今であればというはなしです。

診断給付金の複数回支払いですが、1年に1回支払うというがん保険は、5年ほど前には、ほとんどありませんでした。私の記憶レベルで1つか2つかといった程度です。ところが、今1年に1回支払う会社は、その当時よりもかなり増えていますし、その条件も変わってきています。

要は、加入時点ではベストでも、時間が経過すると、各保険会社のがん保険が変化して、ベストのものが変わっている可能性が高いと言えます。


がん保険を年中見直すことは困難、であれば…

がん保険の内容に変化が出るたびに、見直しをしていくとなると、場合によっては毎年保険の見直しをしなくてならないかもしれません。それくらい、変化が激しいと私は感じています。

正直なところ、そんなに年中年中保険の見直しは、やってられないというのが本音ではないでしょうか。保険の仕事についていれば、リアルタイムで変化がわかりますが、それでも都度都度見直すのは、おそらく面倒です。また、保険の場合、見直したいからと言って必ずできるとは限りません(※3)。

そこで、これはひとつの考え方ですが、見直しをそれほど気にしなくて良い方法もあるので、ご紹介したいと思います。

(※3) がん保険の見直しができないケースについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険はいつでも入れる?』お金を払えば入れると思ってはいけない、というはなし」を、是非ご覧ください

1回限りでかなり大きな一時金

回数無制限のがん診断給付金。無制限と聞くと、永遠に支払い続けてくれる印象があり、非常に安心感を感じるかもしれません。ただし、2回目以降に関しては、細かい条件があり、該当した場合しか受け取れません。実際がんになる可能性が高いのは、がん保険に加入してからそれなりの時間が経過してから(年を重ねてから)です。

実際がんで受け取る時に、優しい条件かどうかわかならいという前提があるならば、1回目にドカンと大きい金額をもらってしまい、おしまいという発想もありなのだと思っています。例えば、初めてのがん診断時に、500万円とか1,000万円といった、100万円の5回分、10回分を、先にもらってしまうという考え方です。

最初の時点で大きく受け取り、保険契約も終了。受け取った大きな一時金を、随時使っていくというやり方です。1回限りだと足りなくなったら…という考えも出てきます。ただし、1回100万円の診断給付金を、10回受け取れる可能性も必ずしも高いとは言えないかもしれません。それであれば、最初の診断時に、銀行口座に1,000万円の残高ができる安心感という、考えも比較対象にしても良いと思います。

一般的ながん保険では不可

一般的ながん保険では、診断給付金の金額は、最高300万円程度までしか設定できません。オプションをつけて、もう少し大きくできるがん保険もありますが、今の一度に1,000万円というような保障を得たい場合には、がん保険ではない保険商品を選ぶことになります(※4)。

必ずそちらを選ばなければいけないわけではありません。やはり1回限りではなく、回数無制限の方が…という方もいらっしゃると思います。ただし、大切なことは、あらゆる選択肢の中から、納得して選ぶことです。こんな選択肢もあるということを、知っておいていただければと思います。

(※4) がん保険以外のがんの保険については、過去の記事「がんの備え|『がん保険、必要?不要?』論争があります。私はどちらかと言えば、不要かな・・・というはなし」を、是非ご覧ください


がんとがん治療、そしてかかるお金を知ったうえで、納得の選択を

がんはまだまだ分からないことが多く、治療の実態の変化が激しい分野であると、私は思っています。おそらく、今後も次々に新しい治療方法が出てきて、その都度がん保険の姿も変化していく可能性がありますし、まさに今動きが起きています(※5)。

がんの備え、そしてがん保険を考える場合、治療については変化していくことを頭において、プランを考える必要があります。そして一定期間経過した場合には、その時のがん治療のトレンドに対応できているかどうか、チェックする必要があることを、あらかじめ知っておいた方が安心だと思います。

(※5) ここ最近のがん保険の動きについては、過去の記事「がんの備え|『がんゲノム医療に対応するがん保険』今抗がん剤治療保障に動きを起こしつつある、がん治療の変化、というはなし」を、是非ご覧ください

保障の範囲をどこに置く?

それから、がん保険を考える際、どうしても手術や抗がん剤治療、そして先進医療など、治療費のことばかりが話題になりがちです。ところが、私ががんで最も経済的につらいであろうと考えるケースは、仕事ができなくて、収入を失い、生活が困窮するケースです(※6)。

最新のがん保険に入っていれば、たいていのがん治療に対しては、お金を払ってくれます。ただし、生活費への保障はしてくれません。その中で、今回のテーマ、がん診断給付金などの一時金は、一定の備えになります。ただし、100万円程度の金額の場合、治療費と2、3か月程度の生活費の備えにしかならない可能性があります。

(※6) がんで、生活費への影響が出るケースについては、過去の記事「がんの備え|意外と忘れられがちな、がんになってしまった時にも発生する普通のお金」を、是非ご覧ください

担当者から正しい情報を

がんは、再発・転移という、ご自分ではコントロールできないリスクが、つきまとう病気です。いくら気をつけても、出てしまう時は出てきてしまいます。もし、がんに備えるのであれば、最も厳しいケースを想定してから、その備え方を考えるべきだと、私は思っています。適切な想定があるからこそ、適切な保険選択もできると考えています。もし、ご自身で情報を得て、適切な備えができる方は良いのですが、そうでなければ、一度相談をしてから結論を出した方が良いのではないかと思います。

是非、がん保険の相談の機会に、あなたの保険の担当者から、がん保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなどについても情報を得て、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※6)(※7)。

がんと聞いて、がん保険商品の選択肢しか出せない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします(※8)。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。

(※6) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

(※7) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

(※8) 生命(がん)保険相談のセカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険選びにもセカンドオピニオン』一番大切なことは、オトクながん保険選びではない、というはなし」を、是非ご覧ください

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