#21 粒子線治療のメリット|がん保険のトリセツ|第2章 がんと治療のはなし
前回は先進医療の定義や位置づけについて見てきました。今回は、その先進医療の中でも代表的ながんの治療のひとつである『粒子線治療』について、一緒に確認していきたいと思います。
先進医療として受ける粒子線治療は、標準治療に比べると、まだ治療効果が十分確認できていないと言われています。ですが、万が一あなたががんになってしまった場合、選択肢のひとつとなるかもしれません。知っておくことは大切かと思います。
目次
粒子線治療とは?
がんの3大治療の中に、『放射線治療』がありました。粒子線治療は、がん治療のカテゴリーにおいては、その放射線治療の一種とされています。
粒子線治療とは、一般的に『重粒子線治療』と『陽子線治療』という2つの治療を総称するものと言われています。従来からの放射線治療と何が違うのか、確認してまいります。
従来からの放射線治療の特徴
従来から行われ、現在標準治療とされている放射線治療。放射線機器を用いて、体の外から体内のがんへ向けて放射線を照射し、がんを叩く。
ただこの際、放射線が一番強く当たるのは、最初に体に接する皮膚の部分です。がんにたどり着く前に、パワーが落ちてしまっているという特徴がありました。
粒子線治療の特徴
粒子線治療で一番語られると思われるのが、『ピンポイント照射』です。同じように体の外から放射線を照射しますが、がんにたどり着くまではあまり威力を発せず、がんにたどり着いた時に最大パワーを発揮する。
今までの放射線治療よりも、体へのダメージを少なく治療ができると言われています。また、前立腺がんなど一部のがんにおいては、すでに治療効果が確認され、先進医療から標準治療に組み込まれたものもあります。
得られるメリット
粒子線治療と他の治療を比較した時にどのようなメリットがあるのか。いくつかあるので確認したいと思います。
粒子線治療は、放射線治療の一種。いわゆる局所治療になります。ですから、手術との比較、従来の放射線治療との比較を見ていきたいと思います。
体への負担が少ない
まず手術と比べた場合、体への負担が少ないということがあげられます。手術の場合には、体にメスを入れることになりますから、どうしても体へのダメージが比較的大きくなり、リハビリを要することがあります。
また、従来の放射線治療と比べた場合、先ほどのピンポイント照射のメリットに加え、放射線のパワーがより強いため、治療を行う回数が少なくて済むというメリットがあります。
QOLの維持
体への負担が少ないという点から得られるものとして、QOL(クオリティーオブライフ、生活の質)の低下を防ぐことできます。
手術の場合は一般的に入院が伴います。従来からの放射線治療は照射する回数が粒子線に比べると多くなると言われていますので、通院でできるとはいえ、何度も何度も通うことになります。仕事など日常生活への影響が懸念されます。
重粒子線治療のメリット
粒子線治療は、重粒子線治療、陽子線治療を総称しています。大きな特徴は同じと言われますが、この2つの違いはどういったものなのか、確認してまいります。
まず、この2つの治療の違いのひとつにパワーの違いがあります。照射される放射線の力が重粒子線治療の方が、より大きいと言われています。
対象となるがんの範囲
粒子線治療は全てのがんに対して治療を行うことができるわけではありません。当然対象となるがんがあらかじめ定められています。
その中で、従来からの放射線治療や陽子線治療では効果が出にくい一部のがんにおいて、重粒子線治療で効果が得られるものがあるようで、守備範囲がより広いと言えそうです。
より短期間で治療できる
前にも触れましたが、粒子線治療は日本のどこでも受けられるわけではありません。場合によって、高額の交通費や宿泊滞在費がかかることがあります。
その点、重粒子線治療の方が、力が強いため、より少ない通院日数で済むと言われています。ちなみに早期の肺がんであれば、たった1回の照射で治療が終了することもあると言われています。仕事や日常生活への影響をより抑えられる可能性があります。
粒子線治療のデメリット
標準治療に比べると、治療効果がまだ十分確認できていない、この点は現時点では致し方ないことで、今後に期待するしかありません。
それ以外で、万が一あなたが今、がんの診断を受けてしまった場合、粒子線治療の選択を考えるうえでのデメリットを押さえておきたいと思います。
治療へのアクセス
粒子線治療ですが、それを受けられる医療機関の数が少ないということがあります。現在、日本には粒子線がん治療施設が25ヵ所(重粒子線:6ヵ所、陽子線:18ヵ所、重粒子と陽子線の両方:1ヵ所)となっています。
さきほど触れたように、受けるために高額の交通費、宿泊滞在費等が発生することがあります。また、受けられる医療機関が近くにないと、情報もなかなか入ってこない可能性もあります。
高額な治療費
現在、先進医療としての重粒子線治療、陽子線治療を受けようとすると、1回の治療で、約300万円が必要になります。
健康保険が適用となる標準治療であれば、一度でそこまでの高額な治療費がかかることはありません。経済的なダメージが大きい点があげられます。
今回触れた先進医療。言葉から受けるイメージとは少し違いますし、標準治療との位置づけも違います。ただし、先進医療は一定の期待があるから先進医療として検証がされています。
場合によって、あなたががんになってしまった時に、ひとつの選択肢となる可能性も無いとは言えません。でもその存在を知らなければ、選択肢とはなりません。もしあなたがこの存在を、治療を受けた後に知ったらどう感じるでしょうか。
ですからがんの備えとは、この治療選択の瞬間に、適切に対応できるための情報の準備も含めて成り立つものだと思っています。そしてそれはがん保険に入るだけでは決してできない、私はそう考えています。
是非、あなたのがん保険の担当者が、がんの情報に関するサポーターでもあることを願っています。
次回は『#21 粒子線治療のメリット』というタイトルでお話ししたいと思います。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
◇◆◇補足◇◆◇
このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。
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