がん保険の選び方|『がん保険の見直しは必要?』見直しはしなくても、見つめ直しは必須、というはなし

がん保険に加入した後、一定期間後見直しがするべきかどうか、お悩みをお持ちの方もいらっしゃるかと思います。『古いがん保険なので、最新のがん保険に見直したい』という相談を、私も過去にいただいたことがあります。

がん保険の見直しは必要なのか?私は、『見直し(解約して新しいがん保険に加入し直す)』よりも『見つめ直し』が必要だと考えています。どういうことなのか?それは、一度立ち止まって、自分のがん保険の内容を検証することです。検証をして、見直すかどうかを判断することが、まずは大事だと思っています。

そこで今回は、なぜがん保険の見つめ直しが必要なのか?どのような場合に見直しが必要なのか?そしてそれをするために何が大切なのか?について、一緒に見ていきたいと思います。

まさに今、『がん保険の見直しの検討』をしようとしているあなたへ、お届けしたいはなしです。

がん保険は変化できない

私が過去に相談を受けたお客様で、『古いがん保険なので、今の時代に合ったものに見直ししたい』という方がいらっしゃいました。具体的に何をどのようにというリクエストは無いのですが、見直した方が良いのでは?という思いが潜在的にあったのだと思います。

保険は加入後に保障内容が変化することは、原則ありません。ただし、保険は『古い=悪』とは限りません。ですが、がん保険に関しては、古さはリスクと思って良いと思います。古いがん保険では、今がんになってしまった時に、ほとんど役に立たない可能性があるからです。もしあなたが、15年以上前のがん保険に加入しているとしたら、まずは一度内容をチェックすることをおススメいたします(※1)。

※1 古いがん保険に加入していることのリスクについては、過去の記事「がんの備え|『がんは若い時に、会社で終身保障のがん保険に入っているから安心なんだ!』とおっしゃったお客様との出会い」を、是非ご覧ください。

がん治療は変化していく

なぜ古いがん保険が役に立たなくなるのか?それは、がん治療の実態が変化していっているからです。がん保険は、その商品が発売された時点でのがん治療のトレンドに合わせて作られていることが多いと思います。

がんは、まだまだ治療方法が確立されていない病気とも言われています。ですから、新しい治療方法が世界中で研究されています。日本のがん治療の現場でも、年々新しい治療方法や、治療薬が出てきていて、古いがん保険が、その新しい治療方法に対応できず、お金を受け取れないというケースも出てくる恐れがあります。

入院から、通院へ

様々な変化が起きているがん治療ですが、過去からの変化で、がん保険にかかわる大きな特徴として、入院期間の短期化、通院治療の増加があげられると思います。30年前であれば長期の入院で行っていた治療も、現在では通院での治療が可能になっているものもあります。

15年以上前のがん保険は、がん治療は入院で行うものという前提で、保障が作られていたという印象があります。ですからそういったがん保険に加入していて、今実際がんになってしまった時に、治療が通院でできるとなった時、思ったような保障が受けられない可能性があります(※2)

※2 入院での治療を前提としたがん保険については、過去の記事「がんの備え|『私の家族が入っていたがん保険』がん保険は時代の変化についていけないかも、というはなし」を、是非ご覧ください。

がん保険の保障は、大きく2種類

がん保険は、商品の数はたくさんありますが、その保障内容は、大きく2つに分けられると、私は考えています。ひとつは、がんの治療を受けたことに対して、お金を受け取る保障。もうひとつは、がんになってしまったことに対して、お金を受け取ることができるものです(※3)。

がんになってしまったら、治療費にお金が掛かるのであるから、どちらのタイプでも十分な保障が得られると思うかもしれませんが、この点は、今回のテーマにおいては、非常に重要になってきます。

※3 2つに分けられるがん保険の保障については、過去の記事「がんの備え|取扱い注意!がん保険には、2種類ある。その選択次第で、がんになった時の備えが変わってくるというはなし」を、是非ご覧ください。

治療に対して、お金を受け取る

治療を受けたことに対して、お金を受け取るタイプのがん保険の保障は、

・がん治療で入院したら…
・手術を受けたら…
・抗がん剤治療を受けたら…

というように、具体的に支払い対象となるものが明記されていて、それに該当する治療などを受けたら、お金を受け取ることができます。一番上の「がん治療で入院したら…」という条件ですが、今のがん治療は、抗がん剤治療や放射線治療など、入院せず通院でできる治療が増えており、当然ですがその場合お金を受け取ることはできません。

こういったことが、がん保険が、時代の変化に対応できない一例です。

がん診断に対して、お金を受け取る

もうひとつの、がんになってしまったことに対して、お金を受け取るタイプのがん保険の保障ですが、一般的に、

・がんの診断を受けたら

お金を受け取ることができます。金額はプランにもよりますが、がん診断で100万円の一時金を受け取れるというものをよく目にします。

こちらは、治療を受けるかどうかは問われません。診断だけで、お金の受取が確定します。つまり、治療を受ける前に、お金を受け取れることが確定します。また、がん治療の実態が変化することに対して、影響を受けることがありません。

定期的な見つめ直しを

冒頭、がん保険の見直しよりも、見つめ直しが必要だとお伝えしました、これについては、ちょくちょく行うことをおススメいたします。ちょくちょくの頻度は、明確にどれくらいということはありません。

ただし、過去を振り返ると、がん保険の保障のトレンドは、かなり変化してきており、その変化のスピードは加速している印象があります。実際、ここ最近、新たながん治療に対応するような変化が起きていると、私は思います(※4)。

※4 ここ最近の変化については、過去の記事「がんの備え|『がんゲノム医療に対応するがん保険』今抗がん剤治療保障に動きを起こしつつある、がん治療の変化、というはなし」を、是非ご覧ください。

見直すかどうかは、状況次第

定期的に加入したがん保険が、その時のがんの治療の実態に合っているか見つめ直したうえで、もし保障が陳腐化しているようならば、その時はがん保険の見直しを検討すると良いと思います。

ただし、年齢が上がってから新たながん保険に加入する場合、月々の負担(保険料と言います)は、以前よりも高くなる場合もあります。手元の貯蓄の状況、陳腐化したがん保険の陳腐化状況に応じて、判断していくことが大切です。

1年に1度、案内が来る

一般的に、保険は加入してもすぐにアクシデントが起きるわけではないことが多いため、あまり加入中の保険に対して、意識が希薄化してしまう場合があります。ちょくちょく見つめ直しをするにしても、きっかけがない場合もあります。

保険に加入していると、1年に1回、保険会社から『契約内容のお知らせ』という案内が届きます。是非そういった機会を、自分が加入しているがん保険の見つめ直しの機会にしてはいかがでしょうか。

がんを知ることが大切

がん保険の見つめ直しの必要性が今回のテーマでした。ただ、適切にその時代のがん治療の実態に合っているかどうか、チェックしていくためには、そもそもがんのことを知らなければ、難しいと思います。

私たちが日本でがんになってしまった場合に、どのような治療を受ける可能性があるのか、その費用体系はどうなっているのか、治療が長期化した際に仕事などにどのような影響があるのか、など実際がんになってしまった時のイメージが必要です。

がんは情報戦

がんは情報戦とも言われます。さきほどもお伝えしましたが、がん治療の実態は変化し続けていますし、おそらく今後もまだまだ変化していくと、私は考えています。

常に最新の情報に触れていかなければ、適切な判断ができませんが、その情報自体をどのように得ていくのか?いわゆる情報の出どころを知ることも重要だと、私は思っています。

がん保険相談時を大切に

日本では残念ながら、がんの情報だけを得られる場所が少ないと、私は思っています。ですから、是非がん保険や生命保険の相談をされる機会を大切にしていただきたいと思います。

がん保険や生命保険の相談の機会に、あなたの保険の担当者から、がんに関する保険の商品情報だけではなく、がん治療の実態や、実は大事な日本の医療のルールなど、実際がんになってしまった時の影像が浮かぶ情報を得ながら、正しいがんへの備えを作っていただきたいと思います(※5)(※6)。

がんと聞いて、がん保険商品の選択肢しか出せない人は、がんについて、しっかり学んでいない可能性があります。もし、はなしの内容が薄いと感じたならば、他でセカンドオピニオンをとってでも、正しい情報をとっておくことをおススメいたします(※7)。それくらい、事前にがんを学んでいるかどうかは、大きな違いだと思っています。それは、正しいがんの知識を持たずに、約9年間、がん患者の家族という立場を体験した、私の実感でもあります。

(※5) がん治療の実態については、過去の記事「がんの備え|私たちが日本でがんになってしまった時、選択肢となる『4つのがん療養』」を、是非ご覧ください

(※6) 実は大事な日本の医療のルールについては、過去の記事「がんの備え|がんと日本の医療のルールを知らないことにより、主治医とのミスコミュニケーションが生じる可能性があるというはなし」を、是非ご覧ください

(※7) 生命(がん)保険相談のセカンドオピニオンについては、過去の記事「がんの備え|『がん保険選びにもセカンドオピニオン』一番大切なことは、オトクながん保険選びではない、というはなし」を、是非ご覧ください

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