#6 がんはどれだけお金が掛かる?|がん保険のトリセツ|はじめに

がんはお金が掛かる病気と言われます。国や主治医が推奨する、一般的な治療を受ける場合、どのようなケースでお金が大きく掛かるのか。

今回は、代表的なケースについて触れてまいります。まさに、私の母ががん患者としてたどったケースがそれに該当します。

単発ならば掛からない

がんであっても、すべてのケースで大きなお金が掛かるとは限りません。お金が大きく掛かるケース、そうでないケース、両方押さえておくことも大事だと思います。

がんでも治療が長引かなければ、経済的な負担は、そこまで大きくならないことが多いかと思います。

早期がんでの入院・手術

多くのがんにおいて、早期で発見できれば外科手術を行います。その手術でがんを完全に取り除き、かつ他への転移がなければ、元気に復帰できるケースも多くあります。

そしてその後、再発や転移がないか、数年間検査で経過観察し、それでも何もなければ診察完了となり、終了となります。

高額療養費が大きな備えに

このケースにおいては、主に入院・手術の費用が負担となりますが、国や主治医が推奨する健康保険適用の治療を受けていれば、『高額療養費』というものを申請することが可能で、10万円程度の医療費負担で済んでしまいます(※)。

これで済むケースであれば、わざわざがん保険に入る必要性も高くないかもしれません。保険が必要であったとしても、あらゆる病気の入院・手術に対応する『医療保険』で十分かもしれません。

※ 実際の高額療養費申請後の費用負担は、年収等により増減します。詳しくは厚生労働省HPで確認できます。

がんでお金が掛かるケース

わざわざ『がん保険』という、個別の病名が入った保険がある理由。それががんの特殊性なのかもしれません。

がんは、一度手術で取り除いても、その後再発や、他臓器への転移が見つかることがあります。このケースでは大きなお金が掛かる場合があります。

がんが長期戦となった時

がんの再発や転移が見つかると、抗がん剤治療という薬での治療を行うことも多くあります。そしてがん患者さんによっては、それが数年単位で続くケースもあります。

実際私の母も、乳がんでの再発・転移で、約9年の治療期間の後半5年間は、薬の治療を継続することとなりました。

月数万円が掛かり続ける

だいたい3週間から1か月に1度、通院して薬の治療を受けました。時期により治療費は多少違いますが、月に2~5万円というイメージです。

1か月で終わるのであれば、保険の必要性は高くないですが、月5万円が12か月、そしてそれが5年間となると…、はなしは変わってきます。

治療費の累計が高額に

がんでお金が掛かるのは『単発でドカンと大きなお金』ではなく、『ジワジワと掛かり続けるお金』と捉えると良いかと思います。

また、掛かり続けるのがいつまで?ということがわからない点も、がんの特殊性と言えるかもしれません。

がん保険の出番はここ

このがん治療費が長期化、累計で高額となるケースに備えるのが、がん保険です。単発の入院・手術だけであれば、医療保険でもカバーできます。場合によっては、貯蓄でも十分かもしれません。

ですから、がん保険を選ぶ際には、長期化するのがどのようなケースか、ということをイメージして選ぶことが大切になってきます。

収入が減るケースも

また、がんが長期化した場合、薬の副作用等で、今までどおり仕事ができなくなるケースもあります。仕事を休むことが多くなり、収入が下がってくる可能性もあります。

それでもがん治療費は掛かり続けます。ですから、そういった観点からも、がん保険選びは慎重に行う必要があります。

意外と盲点のがんのお金

後の章で詳しく触れていきますが、がんのお金を考える時、治療費はすぐに思い浮かぶのですが、収入面への影響は盲点になりがちです。

治療費は出費の増加ですが、働くことが難しくなる収入の減少も、実はがんのお金を考える場合、非常に重要です。

退職するケースも

がんの影響で、仕事を退職されている方もいらっしゃいます。当然今まで得られていた収入が失われます。収入が無くなっても、日々の生活費は今までどおり掛かり続けます。

場合によっては、このケースにおいて、最も経済的に追い込まれることになるかもしれません。

治療費?生活費?どっち?

備えを考えるにあたっては、最も厳しい状況をイメージ、そして数値化することが大切です。その厳しい状況に対し、現時点でどの程度備えがすでにあるのか、そこが第一歩です。

そのうえで、がん保険が必要だと思った時、治療費に備えるのか、生活費に備えるのか、それによりふさわしい保険は変わってきます。

がんはお金が掛かることも多くあります。ただ、どのようなケースで、どのようなお金が掛かるのか、そして家族の状況やライフスタイルで備えるべきお金の質や量も変わってきます。

ですからがん保険を選ぶ前に、まずがんを良く知ることが大切なのではないでしょうか。

次回は『#7 がん保険の前にがんを知る』というタイトルで、おはなししたいと思います。

◇◆◇補足◇◆◇

このがん保険のトリセツは、1つのコラムでの文章量は少なめに抑え、要点だけをお伝えするようにしています。内容について、もう少し詳しく知りたいと思われた方は、是非関連する別のコラムもお読みください。

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